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何気ない二日

[543]  カルメ焼き010  2008-01-07投稿
甘い匂いが、一杯だったはずの私のお腹を刺激する。
目の前で、意地悪そうな笑みを浮かべている友達、真樹が手に持っている皿から漂う香りだ。
「食べたい?」
ここで誘惑にのったら負ける。だが、お腹と脳はとても素直な反応で、見事に小腹がすいたサインを出す。唾を飲み込み、鳴りそうなお腹を抑える。
「夕香、我慢しなくていいんだよ?」
駄目だ。ここで手を出したら今までの苦労が水の泡になる。
「全然我慢なんかしてないよ」
とびっきりの笑みをつくり、その場を凌ごうとした、が、敵は甘くなかった。
「食べないの? 美味しいのに」
そう言ってテーブルに置くと、皿に盛ってあった匂いの正体であるクッキーを一つ手にとり、美味そうに食す。
次から次へと、口に運ぶ度、真樹は幸せそうな顔をする。丸い形のクッキーは軽い音を立て真樹のお腹へと収められて行く。
真樹が余りにも美味しいそうに食べるせいか、最近甘いものを食べていないせいか、とうとう我慢出来なくなった。
「私も食べる!」
と、勢いよくクッキーを頬張った。
口の中に広がる甘さと香り、クッキーの食感がたまらない。顔が緩んで、私を見ていた真樹が笑った。
「夕香、ようやく食べたね」
私は誘惑に負けた。
結局、今回のダイエットも失敗だ。
「私がダイエットしてること知ってるくせに、真樹酷い」
拗ねたように言ったら、また真樹は笑った。
「授業中、ノートにお菓子の名前羅列するほど重症になるまで、ダイエットなんかするんじゃない。もうすでに、針金のようなのに」
針金って……もっとマシな例えはないのか?
とはいえ、禁断症状が出かかっていたので、真樹が無理に食べさせてくれて良かった。
「美味しい。ありがと、真樹」
私は素直にお礼を言った。
「お礼なら、バレンタインのチョコ、奮発してくれるだけでいいよ」
うわ、今からバレンタインの請求? 気が早いよ。

いろいろツッコミどころ満載な友達との一日が、終わっていく。

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