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奈央と出会えたから。<37>

[850]  麻呂  2008-01-10投稿
『そう言えばあんたの母親ってさぁ、夜、スナックで働いてんじゃん?昼は売れない小さな弁当屋でのパート。夜は寂れた路地裏の流行らないスナックで酔っ払いの相手。あんたの母親も気の毒ねぇ〜。』


ユカが得意気にこう言った。


あたしの怒りは頂点に達していた。


怒りで震える体を必死で抑えていたー。

そんなあたしの怒りを煽るかの様にユカがこう捲くし立てたー。


『あたしん家はさぁ、お父さんは一流企業の会社役員。お母さんも病院で看護師してるから、生活は割とリッチなんだよね〜。あの財布に入ってたお金だって大した金額じゃないしさ。ここであたしに土下座して誤ってくれたら、許してやってもいいわよ、奈央。』



『‥‥‥。』



あたしの手には拳が握られていた。



ギュッと握った拳に思わず力が入るー。


殴ってやりたい‥。


今すぐコイツの顔を‥‥。



殴ってやりたい!!


頂点に達した怒りをなんとか鎮めようと、あたしは自分自身にこう言い聞かせたんだー。



もう二度とお母さんを悲しませる様な事はしたくないー。



もう二度とお母さんを泣かせるもんかー。



『どうするの?!奈央。土下座するの?!しないの?!どっちよ?!』



ユカはあたしが言い返さないのをいいことに、すっかり女王様気取りだったー。

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