KISARAの恋[11]
その頃、椎名林檎が大好きだった貴更はエンドレスで『本能』を聴いていた。
ハンドルを握る手でリズムを取りながら、普段なら歌っているところだが奈緒がいたので黙っていた。
「椎名林檎さん、好きなん?」と奈緒が話してきた。
「あぁ、はまっててな、この曲がええな。〜約束はいらないわ、果たされないことなど大嫌いなの〜♪ってな。」
「私も好きなの・・・・・・。」
「あっ、そうなん?カッコええよなぁ?」
「そうね。優木くん、全部CD持ってるの?」
「あるよ。その辺にないかなぁ。」と貴更は後部座席を探ってCDの入った箱を奈緒に渡した。
「聴きたいのがあったら、持って行っていいよ。返すのはいつでもええし。」
奈緒は随分喜んで、2、3枚借りて帰ると言って、鞄にしまった。
暫くの沈黙が続いた。貴更は奈緒の家に向かった。
「あの・・・」と奈緒が口を開いた。
「うん?何?」
「優木くんの話って何やったん?」
「え、あぁ、いや、別に大したことじゃないからええわ。」
桜木の話が気になって、さすがにプリクラの件は話せなかった。
「そう・・・」
奈緒が一瞬寂しそうな表情をしたように見えた。
「どうかした?」
「ううん、大丈夫。・・・お腹すいたね。」
「やなぁ。立ち仕事はしんどいしな。事務所のお菓子だけじゃ、腹減るわな。」
「あの、優木くん、時間ないよね?」
いきなり何を言い出すのかと貴更は動揺した。
「じ、時間って?今?」
「う、ん・・・・・・」
「どうしたん?何か話でもある?」
「聞いて欲しいことがあるんだけど・・・」
「・・・・・・。」
長くなるとまずいな、と貴更は思ってすぐに返事できなかった。
「何か、悩みごと?」
奈緒はちょっと困った顔をして下を向いたまま消え入りそうな声で話した。
「悩みっていうか・・・気になるっていうか・・・」
「俺でよかったら、聞くけど・・・」貴更はチラッと時計を見た。18時40分。
「時間なら、大丈夫やし。な?」
「止めて・・・車止めてくれる?」
「えっ、あ、うん。」貴更は後ろを確認してハザードを点けて車を止めた。
ハンドルを握る手でリズムを取りながら、普段なら歌っているところだが奈緒がいたので黙っていた。
「椎名林檎さん、好きなん?」と奈緒が話してきた。
「あぁ、はまっててな、この曲がええな。〜約束はいらないわ、果たされないことなど大嫌いなの〜♪ってな。」
「私も好きなの・・・・・・。」
「あっ、そうなん?カッコええよなぁ?」
「そうね。優木くん、全部CD持ってるの?」
「あるよ。その辺にないかなぁ。」と貴更は後部座席を探ってCDの入った箱を奈緒に渡した。
「聴きたいのがあったら、持って行っていいよ。返すのはいつでもええし。」
奈緒は随分喜んで、2、3枚借りて帰ると言って、鞄にしまった。
暫くの沈黙が続いた。貴更は奈緒の家に向かった。
「あの・・・」と奈緒が口を開いた。
「うん?何?」
「優木くんの話って何やったん?」
「え、あぁ、いや、別に大したことじゃないからええわ。」
桜木の話が気になって、さすがにプリクラの件は話せなかった。
「そう・・・」
奈緒が一瞬寂しそうな表情をしたように見えた。
「どうかした?」
「ううん、大丈夫。・・・お腹すいたね。」
「やなぁ。立ち仕事はしんどいしな。事務所のお菓子だけじゃ、腹減るわな。」
「あの、優木くん、時間ないよね?」
いきなり何を言い出すのかと貴更は動揺した。
「じ、時間って?今?」
「う、ん・・・・・・」
「どうしたん?何か話でもある?」
「聞いて欲しいことがあるんだけど・・・」
「・・・・・・。」
長くなるとまずいな、と貴更は思ってすぐに返事できなかった。
「何か、悩みごと?」
奈緒はちょっと困った顔をして下を向いたまま消え入りそうな声で話した。
「悩みっていうか・・・気になるっていうか・・・」
「俺でよかったら、聞くけど・・・」貴更はチラッと時計を見た。18時40分。
「時間なら、大丈夫やし。な?」
「止めて・・・車止めてくれる?」
「えっ、あ、うん。」貴更は後ろを確認してハザードを点けて車を止めた。
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