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MURASAME最終章

[491]  あいじ  2008-01-11投稿
最終章 神

Prolog…
未だ世界がただの空間であった頃…
二つの神が存在した
二つの神は新しい世界を創った
そして其処に一つの『生命』を蒔いた
『生命』は自らを傲り神に牙を剥いた
神の一つは怒りの為一つだった『生命』を二つに割った
『生命』は人と妖という新しい形となり世界を二つに割った
ヒトが住む世界『人層』
妖が住む世界『妖層』
そして…


第一部 件?

奇妙な事ばかりが起こっている。
鬼門から現れた現幽心…
平将門の復活…
そして今回の日光東照宮の消滅…
今までに無い事態に彼は…焔蔵王丸は溜め息をついた。
(何が起こっているのか全く解らない…何よりも一番の確信にいるであろう可王京介の目的すらはっきりしていないのに…)
蔵王丸が二度目の溜め息をついた時、ノック音が響き村神春紀が入って来た。その顔が何時もより険しいものになっているのに蔵王丸は驚いた。
「村神くん…」
「新年の挨拶をしたいところですが…蔵王丸様に伝えておきたいことがありまして…」
蔵王丸は静かに頷くと村神を見つめた。
「未だ未確認事項なのですが…件(くだん)が…産まれてきたとのことです…」
件(くだん)…かなり有名な伝説なので知っている人もいるかも知れないが、件とは人面を持った牛の妖怪の事である。
災害や危険が間近に迫った時に産まれ、人語を話し、予言めいた警告をするといわれており江戸時代には飢饉を予言したと云う。(因みにこれをモチーフにした小松左京の小説「くだんのはは」がある。戦時下の描写が生々しく感じられ最後まで心の底を刺激し続ける展開が白眉だった。興味のある方は是非読んでみて頂きたい)
「くだんは…一体何を予言したんだい?」
「……『神が蘇り生命が消える』…と」
蔵王丸はうつ向いた。
噛み合わない歯車が回り続けているような気がした。
「竜助を調査に向かわせましょう」
「いや…」
蔵王丸はゆっくり言葉を切った。
「僕が…いこう」


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