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aki-第3章-?

[344]  1003  2008-01-12投稿
加菜が笑った瞬間、真っ白いカーテンが風が吹いて優しく少し揺れた。

「それ、スイセンね。」
加菜の言葉につられて、私は花束の白いスイセンを見つめてから、花束を加菜に手渡した。
「春を待ち続ける花ね…。」
また風が優しく私と加菜の間を通り過ぎた。

「私と加菜さんは似てる様で、全く正反対でした。」
私の言葉に、加菜は少しだけ驚いていた。
「そうね。お互いに無い物ねだりをしていた気がするわ。」
加菜の言葉に私は頷く。
「早く、良くなって下さい。」
それだけ言って私が病室を出ようとした時だった。

「悪いと思わなくて良いわよ。」
加菜の言葉に私が振り返ると、加菜は言葉を穏やかに、そして真っ直ぐに続けた。
「私も悪いとは思ってないから。むしろ、自分の気持ちに正直になれて清々しいくらい。
…これはあなたから学んだ事よ。
晶斗の事は…人の気持ちなんだもの。私に決める権利が無い事もわかってた。」
そして加菜は改めて私を見つめた。

「あきとは話したんですか?」私も加菜を見つめ直す。
「ええ。
あんな浮気性、こっちから別れてあげたわ。」
加菜がイタズラに子供の様に無邪気に笑う。
それから加菜はこう言った。
「これからどうするの、なんて聞かない。
だってあなたとはもう二度と会いたくないもの。」
加菜の言葉に私も笑った。

「ひとつだけ、おせっかいかもしれないけれど。
哲ちゃん、加菜さんの為なら何でも出来ちゃうはずよ。」
そう言ってから私は病室の扉を開けた。



「ありがとう。」


私の背中の方から聞こえた加菜の一言を、聞こえないふりをして私は病院を後にした。




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