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隙間の方

[614]  鈴子  2008-01-13投稿
人形が一つ。
庭に落ちていました。
なにかにむさぼられた。ひどくボロボロな人形。
この家に来てから度々こんな事がある。気がつけば 食器が割れ、硝子が割れ、全てが割れて。

私はその根源を、怪奇の起こる原因を知っている。 見たこともある。
なぜならば。

ここに住む何かは隙間から手を伸ばす、掴まれれば、生きていれば引きずりこまれ、生がなければ壊されて、この家はそういう家だ。 あらゆる隙間から手が伸びて、

所詮この世は隙間だらけだ。 扉の隙間。小物の隙間。本の隙間。立ち並ぶ家具の隙間。囲まれているでしょう? 畳の目は?隙間は?数え切れないでしょう? 塞ごうとすればまたそこから隙間ができる。

1ミリの隙間でも手は伸びてくる。
そうして私も捕まってしまった。初めてこの家に来た日。怯え苦しみうずくまった。
布団はかぶれません。
隙間が出来るから。
扉を閉めれません。
隙間が出来るから。
ノートのページ。
重ねたふく。積み重ねた段ボール。窓枠。カーテン。 隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間隙間。 小さな暗い溝から溢れ出す手。

怖くて顔を両手で覆いました。今度はどこから来るの?
目を隠した


指の隙間から。

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