アーモンドの帽子
「アーモンド、起きなよ」
グリットはアーモンドの頬を軽く叩いた。
アーモンドの部屋に張り詰めた音が響く。
「もうすぐ村長が来られる」
「うん…」
寝ぼけた声で返事をしグリットの方へ手を伸ばす。
グリットはその手を受け取り柔らかく握った。
「おはよう」
アーモンドは体を起こして大きく伸びをした。
ぼやけた視線をグリットに向けた。
「まだ寝たりないね」
「仕方ないよ、昨日遅かったんだもん」
グリットは苦笑いしながらアーモンドの服を棚から取り出した。
アーモンドは布団から這い出てカップに注いである紅茶を口に含んだ。
ミルクティーだ。
「なんだか、新しい?」
「メルボのラストムーン」
「へ、へぇ」
アーモンドはよく分かっていない様な返事をして服を脱いだ。
それから洗面台へ行き冷水で顔をゆすいだ。
「お湯を出しなよ」
グリットは薄い生地のリュックを背負いながらアーモンドに言った。
アーモンドは顔を拭いてグリットを見た。
「時間と水の無駄だ」
「ふふ、アーモンドって意外に節約家」
グリットはドアノブに手を掛けてクスリと笑った。
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