宝物10
一人になった俺はさっきまで感情を抑えていたものがふっと抜けたかのように興奮しながら、無意識に部屋に足が進んでいった。
その興奮は夜も続き、買ってきた服のことなどすっかり頭から抜けていた。
ほとんど眠れなかった俺だったが気分は良く、心も穏やかな状態だった。昨日買った服はあえて着ないでいつも通りの服で家を出ることにした。
外に出ると、庭に昨日の朝もいた猫が苦しそうに鳴いているのに気付いた。まさかと思い右前足に目をやると、傷は治っていなかった。それどころか昨日よりもひどくなっていた。
俺は急いで家の中に戻り救急箱を取ってきた。その日もあまり時間に余裕はなかったが、俺が左手を見ることはなかった。
どんなふうに手当てすればいいのかなんてわからないけど、とりあえず消毒と包帯で俺ができる限りのことはした。
猫は少しだけよくなったように見えた。
俺は駅に向かって走り始めた。途中、初めて左手を見てようやく遅刻の可能性があることを認識したが、心は清々しかった。焦りの気持ちが生まれてくることはなく、ただ本能のままに走っていた。
電車の中でも時計を気にすることはなく、大学に着いたときに再び時計に目を向けると、時間に間に合っていた。
その興奮は夜も続き、買ってきた服のことなどすっかり頭から抜けていた。
ほとんど眠れなかった俺だったが気分は良く、心も穏やかな状態だった。昨日買った服はあえて着ないでいつも通りの服で家を出ることにした。
外に出ると、庭に昨日の朝もいた猫が苦しそうに鳴いているのに気付いた。まさかと思い右前足に目をやると、傷は治っていなかった。それどころか昨日よりもひどくなっていた。
俺は急いで家の中に戻り救急箱を取ってきた。その日もあまり時間に余裕はなかったが、俺が左手を見ることはなかった。
どんなふうに手当てすればいいのかなんてわからないけど、とりあえず消毒と包帯で俺ができる限りのことはした。
猫は少しだけよくなったように見えた。
俺は駅に向かって走り始めた。途中、初めて左手を見てようやく遅刻の可能性があることを認識したが、心は清々しかった。焦りの気持ちが生まれてくることはなく、ただ本能のままに走っていた。
電車の中でも時計を気にすることはなく、大学に着いたときに再び時計に目を向けると、時間に間に合っていた。
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