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昼下がりのさようなら

[133]  ふく  2008-01-18投稿
気持ちが良い暖かさ
空は雲一つ無い綺麗な青
風が優しく僕等を包む
こんな日は君と手を繋いで遠くまで歩きたい
靴を鳴らして息を吸い込んで笑い合っていたい

世界は残酷だ
どうしてこんな日を選んだのだろう
太陽が眩しい昼下がりに君からのさようならが悲しく響く
真上に上がる太陽で二人の影が消える
強い決断を思わせる君の表情\r
そんな君の顔を直視できなくて降り注ぐ太陽の光のせいにして顔をしかめて見せた
動揺で吸い込む空気が生温くて咳込む
どれくらいの沈黙があっただろう

僕は思い出していた
今日に似た昼下がり
ソファに二人並んで座って映画を観た
差し込む陽が眩しくてカーテンは締め切ったまま
暖かくて気持ち良かった
そんな暖かい陽気と二人でいる安心感で僕らは眠った
目を覚ますと映画はいつの間にかエンドロールになっていて二人眠い目を擦って目を合わせて笑った
それが幸せで僕は君の手の上にそっと手を重ねたこんな気持ちがずっとずっと続けば良いと思った
きっと君も同じ思いだったはずだ

思い出すと切なくなる
いつから君の気持ちが背を向け始めていたのだろう君は何処へ向かおうとしているのだろう
僕はこれから何処へ向かえば良いのだろう
僕が愛した君が決めた事
だから何も言わずに僕の元から送り出そう
じゃあねと君が甘い香りを残して行く
せめて違う日が決別であれば良かった
あまりにもあの日に似過ぎる昼下がり
僕は上手くさよならも言えないまま背を向けて歩き出した
三歩歩いて振り返る
君が振り向いてくれたらまた戻れる
君の所まで駆けて抱きしめて言うんだ
『愛してる』

最後の賭に僕は敗れた
情けない
君が決めた事ならと一度は諦めた思いが簡単に崩れようとしていた
また会えるならと春の空に祈りを捧げる

さようなら
たまらなくなり僕は叫んだ
君の肩が微かに揺れた
振り返り君が寂しそうな笑顔を浮かべる

僕は走った
君のいる場所から出来るだけ離れたくて息を切らし走れるだけ走った

今夜は眠れるだろうか
深い眠りから覚めたとき
あの日に戻りたい
目を開けて隣を見たら君が眠っていたあの日
沢山の幸せを感じたあの瞬間
走り疲れて座り込んで
未練だらけの自分に気付く
それでもまた降り積もる君への想いを何処へ届けよう
どうやって忘れよう
今この暖かい太陽で僕の悲しく大きな想いを溶かして欲しい

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