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星になる前に

[137]  香佑  2008-01-22投稿
俺の名前は相川 祐介。
享年17歳。
職業、元高校2年生。今は……よく分からない。

「こんにちは」

背後からふいに声を掛けられて、俺は振り向いた。

「黄泉の国へようこそ」
そこに立っているのは、なんとも優しそうな顔をしたじいさんだった。


俺は、死んだ。ついさっき。大型ダンプに跳ねられて、即死だったのだ。

「こちら側の国は辛いことも苦しいことも何もありません。永遠に続く安楽の世界ですよ」
じいさんは心地良い声で俺に言った。


辛いこと、苦しいこともない……。なら、どうして今俺はこんなにもやりきれない気持ちでいっぱいなんだ。

俺はその優しそうなじいさんを見ないように、顔を背けた。


「……どうやら、あなたさんには、生前に未練があるみたいですな」

じいさんはふむ、と何かを納得したように頷いた。

未練ね、未練ならある。

最後の最後に、彼女に気持ちを伝えることが出来なかったことだ。

ずっと片思いだった彼女、高橋 彩香に。

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