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ララ [2]

[278]  ロミ  2006-04-13投稿
「何?」


「キス。」


彼は私の額にかかる髪を左右の手で、まるでカーテンを開くように耳にかけそっと口づけをした。


タバコの苦さが心地よいと思った。

初めてのキスだった。


私は体中で鼓動を聞いていた。
私より大人な友達はキスは生々しいものだと、自慢していたが、私はそうは思わなかった。


「…ごめん。」

彼のビターな声がつぶやいた。


「キス………もう一度して…」

呟くように私は、ねだった。



3月に高校を卒業した。
一年遅れた19での卒業だった。
私は最後まで年のことは黙っていた。
普通でいたかったから。

大学には行かない。

働きもしない。

プー太郎だった。

私はこれからのだらだらとした生活に心踊らせていた。
出始めに山に行こう。
そう決めていた。

「ワダミ。写真撮ろう。」
にこにこと解放感に満ちた笑みで友達が袖をひいた。
了解の返事を返しながら、私は彼をみた。

「いくよ、はいキムチ☆」
おかしなかけ声だといつも思う。
なぜキムチ?
ラッキョウでもカレーでもなんでもいいじゃないか。

どうでもいいけれど。


この時の写真を後にもらったとき、私は自分の正直さに酷く感心したのを覚えている。

私は一斉にレンズを見つめる顔を否定して、その向こうでリアカーを引く彼をみていた。

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