If the miracle occurs (ID:27512) - 携帯小説！(PC版)

「ほっ、本当に女の子だった…」
大きな青い瞳をさらに大きく見開き、エレナはなぜか赤面した。
「なんか誤解してるみたいだから言っとくが、クラスメイトだからな？プリントを届けに来てくれたんだよ」
「本当に？」
嘘をついてどうするんだ、と思いながら、僕はうなずいた。
「ならいいけ…ど！？」
「今度はなんだよ？痛っ！」
僕の腕の裾をひっぱりながら、エレナが小声で言った。
「リィリアとヴィオード！あんなとこにいて、バレたりしたらどうするの！」
悠里亜のそばにちょこんと、なおかつ堂々と座っている二人を指差す。
残念ながら、もう遅い。
別に必要ない気がしたけど、僕はエレナに、小声で今までのことを教えた。
「な、ななななな…」
目も口もまんまるにして、ぱくぱくとしているエレナの顔が、面白い。
面白がっている場合ではないのだが。
「なんで！？どうし…」
そのとき、ヴィオードが指をパチンと鳴らした。
エレナの言葉は急に途切れ、その場にゆっくり倒れる。
「ヴィオード！」
僕は驚いて、ヴィオードに問詰める。
リィリアも、悠里亜も、同じく驚いている。
「眠ってもらっただけです。エレナには、なにも関係のないことですからね」
それはわかるけど…。なんだ？『エレナには、関係のないこと』って。
「リィリアや類たちには関係あるの？」
リィリアが先に質問したが、ヴィオードは「関係あるのは類とその子ですね。チビチビにも関係ないですから、いっちょ眠ってもらうですか？」とはぐらかした。
僕と、悠里亜に関係のあることとは、一体なんなのだろう。

僕がエレナをエレナの部屋に運び、帰ってくると、ヴィオードは、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「まず、です。確認ばかりに聞いておきたいのですが…」
ヴィオードは少し目を伏せ、悠里亜の方に向き直った。
「貴女、人間ではないでしょう、です？」
その場にいた全員が、悠里亜に目を向ける。
悠里亜も、一回目を大きく見開いたが、まっすぐにヴィオードを見つめている。
「人間じゃないって、どういうことだよ」
僕は、知っていた。
だけど、聞かずにはいられなかった。
「言葉の通りです。そしてもし、貴女がよからぬことを考えているのだとしたら…。……ヴィオードは、貴女のことを殺します…です」
静かに、ヴィオードが言った。

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