彼の恋人
冬休みが明け、青海高校に生徒の活気が戻ってきた。予備校に通い詰めたり、親戚付き合いで正月が終わったり、スキーやスノーボードを満喫したり、カウントダウンライヴで新年を迎えたり……それぞれの年末年始を過ごしたようだ。
亜鶴達4人は、年が明けて初めて顔を揃える。亜鶴と彩子は予備校の講習会で博文達に会った時の出来事を祥恵と州和に話す。
「博文ねぇ、佳純さんが夢に出て来て告られて、キスされる所で目が覚めたんだって!」
亜鶴の爆弾発言は不発に終わった。それ所か州和に怯えられた。
「え〜。いくら夢オチでも、博文は佳純さんに取り憑かれてるって事だよね? 大丈夫かなー?」
だが、オカルト好きの祥恵は目を輝かせる。
「死んでも好きな人の傍を離れない。ロマンチックじゃなーい? でも、右側に憑いちゃうと呪われちゃうんだよね。左側に憑いてたらいいけど……」
「北川さーん。この人、イッチャッテるよ〜!」
祥恵を制止しようとする州和を無視して、亜鶴は話を始める。
「モーリーはこの手の話が大の苦手なのよね〜」
「そうなの?」
彩子が聞き返した所で祥恵が一言言い放つ。
「妙に母性本能をくすぐられるタイプね。でも、私はパス!」
亜鶴が激しく反論する。
「包容力があって、家事全般が得意で、子供好きの、デブでチビでへたれな醜男の何処が嫌なの? 祥恵」
「亜鶴が言うへたれな所」
博文達にとって、佳純が性同一性障害を抱えていた事はどうでも良かった。今になって、博文に恋心を秘めていた事を知ったとしても同じである。最も重要なのはジェンダーの垣根を取り払う事だ。だから千聖が好き好んで機械いじりに興じたり、孝政が料理と裁縫を好んでも、誰も口出ししない。ジェンダーレス世代故の大らかな考えだろう。
2ヶ月後になると高校は卒業だ。その後はそれぞれの道を歩む事になる。残された時間は一瞬でも無駄にしたくないから、勉強も友情も一生懸命になるのだ。博文も、孝政も、裕介も、臨も、千聖も、みくも、泉も、暁も、惇も……。
センター試験の本番は、あと2週間を切っている。
亜鶴達4人は、年が明けて初めて顔を揃える。亜鶴と彩子は予備校の講習会で博文達に会った時の出来事を祥恵と州和に話す。
「博文ねぇ、佳純さんが夢に出て来て告られて、キスされる所で目が覚めたんだって!」
亜鶴の爆弾発言は不発に終わった。それ所か州和に怯えられた。
「え〜。いくら夢オチでも、博文は佳純さんに取り憑かれてるって事だよね? 大丈夫かなー?」
だが、オカルト好きの祥恵は目を輝かせる。
「死んでも好きな人の傍を離れない。ロマンチックじゃなーい? でも、右側に憑いちゃうと呪われちゃうんだよね。左側に憑いてたらいいけど……」
「北川さーん。この人、イッチャッテるよ〜!」
祥恵を制止しようとする州和を無視して、亜鶴は話を始める。
「モーリーはこの手の話が大の苦手なのよね〜」
「そうなの?」
彩子が聞き返した所で祥恵が一言言い放つ。
「妙に母性本能をくすぐられるタイプね。でも、私はパス!」
亜鶴が激しく反論する。
「包容力があって、家事全般が得意で、子供好きの、デブでチビでへたれな醜男の何処が嫌なの? 祥恵」
「亜鶴が言うへたれな所」
博文達にとって、佳純が性同一性障害を抱えていた事はどうでも良かった。今になって、博文に恋心を秘めていた事を知ったとしても同じである。最も重要なのはジェンダーの垣根を取り払う事だ。だから千聖が好き好んで機械いじりに興じたり、孝政が料理と裁縫を好んでも、誰も口出ししない。ジェンダーレス世代故の大らかな考えだろう。
2ヶ月後になると高校は卒業だ。その後はそれぞれの道を歩む事になる。残された時間は一瞬でも無駄にしたくないから、勉強も友情も一生懸命になるのだ。博文も、孝政も、裕介も、臨も、千聖も、みくも、泉も、暁も、惇も……。
センター試験の本番は、あと2週間を切っている。
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