レジェンド‐新世紀伝説 25
「遅かったか …… 」
井田耕造を遠巻きにしていた男たちの間から姿を現したのは、林白龍(りんぱいろん)と陳(ちぇん)であった。
「陳、こいつが居合いの名人って奴か?」
「ああ、間違いない。 あの馬鹿長い刀は素人には扱えないはずだ」
こちらを鋭い目で見据えながら話す二人に、井田はすり足でにじり寄っていく。
「 …… 名人かは知らんが、斬り方は心得ているつもりだ」
一足一刀(刃の届く距離)の間合いに至る手前でリンは陳に目で合図を送っていた。
「おお、晋か。 こそ泥は片付けたみたいだな」
肩で大きく息をしていた村山剛が、頬や腕から血をにじませた山際晋に強い視線を向ける。
「ああ、そちらも大変だった様だね」
村山剛の服も数ヶ所ほころびていた。
「 … しかし、惜しいな。この男は正々堂々と真っ正面から挑んできた奴だ。
出来れば仲間にしたい」
村山剛は、かすかに呼吸を繰り返している劉源治に目をやった。
「みんな!一斉に突け!」
陳の号令に、弾ける様な勢いで全員の棒先が井田に集中する。
その時リンは棒高飛びのように井田耕造の頭上に跳ね上がっていた。
「ハイヤァーッ!」
「キエェーイッ!」
鋭い気合いが同時に響き、棒先を切り払った井田の頭部はリンの強打を浴びていた。
「また、新手のお出ましのようだね」
村山剛の肩口をぽん、と叩いた晋は、無表情で歩み寄るジェフと木崎に凛(りん)とした視線を向ける。
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