処刑生徒会長第四話・16
梅城ケンヤは会長卓に座ったまま、足元から小振りなシュレッダーを手に取り―\r
ウィィィィィィン
今しがた赤木マモルの腕にあった真紅の布を投入口に差し入れた。
机上で割と静かな音を立てながら、シュレッダーはそれを粉々に砕いている。
その不可思議な様子に接して、赤木マモルと港リリアはお互い顔を見合わせた。
腕章は重要な役職を示す権威の象徴―\r
誰かから取り上げたそれは別の誰かに授与される筈だ。
さもなくば奪った本人―梅城ケンヤがまとう筈だ。
だが、梅城ケンヤはいきなりそれを処分して見せたのだ。
跡形もなく―\r
それは、端的に言えば風紀委員長職自体を否定したに等しい。
一体何を考えているのか―?
やおらシュレッダーの蓋を開け、立ち上がった梅城ケンヤは、会長卓脇のゴミ箱に中身を全て棄てだした。
赤い砂と化した《もと腕章》が、あっけなく黒い円筒の中に吸い込まれ―\r
ぱんぱんと手に付いた屑を払いながら何か重荷を降ろした様な表情で、ケンヤは椅子に戻った。
そして、会長卓の引き出しにキーを差し込み、
カチャリ
すぐ開いたそこからガラス張りの小さな箱を、彼は取り出した。
一つずつ―\r
並べられたそれらは、ついさっき解任した人数分、つまり二つあった。
『これを』
梅城ケンヤは厳かな面持ちで言った。
『君達に受け取って貰いたい』
箱の中に在るのは、新しい腕章―\r
赤木マモルの前に置かれたのは青、
港リリアのは黄色だ―\r
『会長―これは?』
赤木マモルはおずおずと尋ねた。
『事実君達の仕事は多すぎる』
ケンヤは謎めいた笑顔を見せながら、
『そしてこれからも生徒会の仕事は増える―だから早めに措置を講じとかないといけないと思ってね』
謎だった。
全てが謎だった。
『君達には今後最も重要な仕事だけに専念して貰いたい』
二人のいぶかる姿を楽しむ様に、ケンヤは卓に組まれた両手の上に顔を載せた。
『仕事が増える―どう言う事です!?』
『教えて下さい会長―こんなんでは受け取れません!!』
異口同音にマモルとリリアはケンヤに説明を求めた。
二人の運命がどちらを向いたのか、この時点では分かる筈もなかった―\r
だが―\r
『戦争だ―他校との』
ケンヤは信じられない事を伝えた。
ウィィィィィィン
今しがた赤木マモルの腕にあった真紅の布を投入口に差し入れた。
机上で割と静かな音を立てながら、シュレッダーはそれを粉々に砕いている。
その不可思議な様子に接して、赤木マモルと港リリアはお互い顔を見合わせた。
腕章は重要な役職を示す権威の象徴―\r
誰かから取り上げたそれは別の誰かに授与される筈だ。
さもなくば奪った本人―梅城ケンヤがまとう筈だ。
だが、梅城ケンヤはいきなりそれを処分して見せたのだ。
跡形もなく―\r
それは、端的に言えば風紀委員長職自体を否定したに等しい。
一体何を考えているのか―?
やおらシュレッダーの蓋を開け、立ち上がった梅城ケンヤは、会長卓脇のゴミ箱に中身を全て棄てだした。
赤い砂と化した《もと腕章》が、あっけなく黒い円筒の中に吸い込まれ―\r
ぱんぱんと手に付いた屑を払いながら何か重荷を降ろした様な表情で、ケンヤは椅子に戻った。
そして、会長卓の引き出しにキーを差し込み、
カチャリ
すぐ開いたそこからガラス張りの小さな箱を、彼は取り出した。
一つずつ―\r
並べられたそれらは、ついさっき解任した人数分、つまり二つあった。
『これを』
梅城ケンヤは厳かな面持ちで言った。
『君達に受け取って貰いたい』
箱の中に在るのは、新しい腕章―\r
赤木マモルの前に置かれたのは青、
港リリアのは黄色だ―\r
『会長―これは?』
赤木マモルはおずおずと尋ねた。
『事実君達の仕事は多すぎる』
ケンヤは謎めいた笑顔を見せながら、
『そしてこれからも生徒会の仕事は増える―だから早めに措置を講じとかないといけないと思ってね』
謎だった。
全てが謎だった。
『君達には今後最も重要な仕事だけに専念して貰いたい』
二人のいぶかる姿を楽しむ様に、ケンヤは卓に組まれた両手の上に顔を載せた。
『仕事が増える―どう言う事です!?』
『教えて下さい会長―こんなんでは受け取れません!!』
異口同音にマモルとリリアはケンヤに説明を求めた。
二人の運命がどちらを向いたのか、この時点では分かる筈もなかった―\r
だが―\r
『戦争だ―他校との』
ケンヤは信じられない事を伝えた。
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