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†孤独の中に咲く一輪の薔薇†

[391]  吉乃森 雪  2006-04-15投稿


喧嘩を売られたり、殴られたりするようになったのは随分も前から。

歳上から因縁をつけられたりして…

部活では、ただ、少し先輩より運動が出来るから。技術・才能が勝っているから。

勉強なんて、出来なくもないし、格別秀才でもない。どちらかと言えば頭は良い。


背は中くらいで、外見だって普通なんだ。



ただ、他人より。

ただ、少し。





『資産家の息子』

ってだけ。



よく恐喝とかされてた。



父親は、俺にスポーツをたくさん教えてくれた。

母親は、仕事ばっかで顔もあやふや。


父が出張で、母があずかることになったときの嫌そうな顔は忘れない。

仕事の邪魔だ、と。
そう思っていたんだと思う。


すぐ母の子会社の社長家に、連れていかれた。

お屋敷は広くて、綺麗だった。

でも、地獄のような場所で。



母の前でペコペコ頭を下げる親方様も、俺の前じゃ全然違くて。

身の周りの世話をしてくれる“志水さん”はとても厳しかった。


朝食も独り。
昼食も独り。
夕食も、独り。


人間はウサギじゃないから孤独や寂しさだけじゃ死ねない。

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