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NO SMOKING 4

[460]  tomio  2008-01-27投稿
 次の日も、雨の日も、風の日も、最悪にツイてない日でさえ私の禁煙デイズは途絶えなかった。
自分でも驚いていた。半信半疑だったKが、いや、全面的に不可能だと決めつけていたあのKが、狼狽え、唸るほど続いたのだ。
とはいえその間も、何度もコンビニでチロルチョコあたりと一緒に『あと…』ってタバコも便乗買いしそうになったり、
何とかそれをこらえてキシリトールガムで慰めたりしていた。
その頃の私は不思議と口数が少なかった気がする。
人は真剣になると無口になる。
私は悟ったみたいに頷いたりしたものだ。
 そんなデリケイトかつナイーブな時期に限って、まわりの友人は何かの祝いだとかで“タバコ1カートン”をくれたりした。(私の状況を知ってか知らずか?)
『いやぁ、どうせなら現金が…』と言いかけた唇を私は止めた。
手に取ってみると、長細いカートンのパッケージ全体にマジックインキで、『誕生日おめでとう!』やら『大好き』『これからもよろしくっす』やら『健康に気をつけて』『バカ』とかいう文字や、いけないモノを描写したイラストが、これでもかと書きこまれていたのだ。
私の誕生日が今月じゃない。なんてことは、どうでもよくなるくらいに、バカという文字に首を傾げることすら野暮なくらいに、ただそれは嬉しかった。
恥ずかしながら、親以外から誕生日プレゼントを貰うのは初めてだった。
そのときの私には実用性はなかったが、有り難くいただき、部屋のインテリアと化したのだった。
そんなこんなで時は経て、私は煙草を卒業しました〜!万歳!!

…と言いたいのは山々なのだが、現実はそうではない。
一年以上続いたエコでクリーンな禁煙ライフも、アルバイト先を変えると同時にあっさりと終わりを告げ、
私は再び、煙たい日々へと帰っていったのだった。

『ストレス…かな?』後に振り返り、私は私に語る。
『足りない何かを?…埋めようとして?』
いつだって私のノンフィクションは言い訳くさくて格好悪い。
当時の私の日記には、こうある。
『我、煙草にも似たり 時は煙の如く吐かれては消え
思い出は灰の如く 確かなものを残してはくれない』

…ってバカ。


この話にはオマケがある。
さらに一年後、私は再び禁煙に挑戦し、現在に至る。
もう長い間、煙草とは無縁の日々を送っていたりする。 


『NO SMOKING』

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