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トラと呼ばれた猫2

[252]  ギンコ  2008-01-30投稿
休日の朝、久しぶりにかかってきた母からの電話は、トラの異変を知らせるものだった。驚いた私は、すぐに駆け付けた。

…そこには、痩せ細った体で苦しげに横たわるトラが居た。呼吸は荒く、目に力のない変わり果てた姿…。

……トラが死ぬ…?


私は、トラをすぐさま病院へ連れて行き、渋る母を説き伏せて入院させた。

…私は、鬼だったのかもしれない。

老衰による腎臓機能の低下に加え、夏バテと脱水症状が重なり、ここ3日が山場だと診断された。

人見知りが激しい彼女は、点滴の管を通され、檻に入れられた。

翌日、見舞いに行くとトラはヨロヨロと立ち上がり、かすかな声でニャ…と鳴いた。

山場と言われた3日を過ぎ、一週間が経ち、安心していた8日目…それは突然訪れた。

「…今朝、病院から連絡があって、朝来た時には…トラ…死んでたって…迎えに行ったから、最後のお別れしてやって…」

電話の向こうで、母は泣いていた。


硬く、冷たくなった彼女の遺体は、まるで眠っているようだった…。

それを見た瞬間、私は全身の力が抜け、涙が溢れてきた。

「ごめんね!ごめんね!」
彼女は、独りぼっちでこの世を去った。

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