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トラと呼ばれた猫3

[268]  ギンコ  2008-01-30投稿
人間に捨てられたトラは、最後の瞬間、信じていた家族に捨てられた。

…そう思われても仕方がないと思っている。

見舞いの帰り際、すがりついて「一緒に家に帰りたい」と訴える。それが私の見たトラの最後の姿だった。
…立ち去る私の姿を、彼女はどんな気持ちで見つめていただろう…。

少しでも長く生きて欲しいという私のエゴのせいで、長く苦しんだ末、家族に見守られることもなく、あの暗くて狭い檻の中、たった一人で死んでいった彼女は、私の事を恨んでいるだろうか…。

何年経っても、この後悔や悲しみは消えない。

そんな私に対して母は、ある話をしてくれた…。

トラは、人の気持ちや言葉がわかる猫だったのよ。落ち込んでる時は慰めてくれるし、おばあちゃんの家で「鼠一匹取れんバカ猫!」って言われた時、鼠を取っておばあちゃんの所に持って来て、自慢げに「ニャー!」だって!

……トラすげぇ…。

その後、母はこう続けた。だからちゃんとわかってるハズよ。それにトラは、一緒に子育てをした戦友だもん。あんたの母親でもあるんだから!恨むわけないじゃない!

…トラと呼ばれた猫は、家族を愛し、今でも家族に愛されている。

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