リフェード 〜激突!レイスvsグラン〜
この月夜の静謐に微睡む事は程遠く、胸を締め付ける程の張り詰めた空気がここに漂っている。
「ラウルに負ける?そりゃどういう事だよ」
金の髪が風に遊ばれているが、酔いしれてしまいそうな月の光を受け、淡緑の双眸は鋭い輝きを放つ。
「あの時気を失っていたお前は知らないだろう。奴の強さが……」
蒼の髪を後ろで加えた青年も碧眼にこの雰囲気を他者に知らしめる程の威圧感があった。
「レイス、いったい何があった?」
もう多くを語る必要は無い。無言で蒼髪の青年は迸る青い閃光をその右手に放ち、それが集束すると彼は細身の青剣を構えていた。
「ただそれだけ覚えていればいい。グラン、これから互いの力を高めるぞ」
グランは金髪を掻き毟り、レイスの独り舞台に招かれたその表情は、気だるそうにしているが反論はせずに一役買う。彼に数多の誣告を並べようともこの状況を回避する事などできないと、彼を昔から知るグランの本能がそう言っているのだろう。
「わぁった!久々にやろうじゃねか!」
瞬くような緑の光を両手に放ち、腰を深く落として構えると戟が形成される。
水を打ったような静寂の中に、二人の放つこの眉間に刺さるような高圧の闘志。
そこに吹き付けた突風。普段なら身を窄めてしまいそうな、その寒風も二人の胸に宿した炎を煽るばかりであった。
疾駆!
互いにその風を皮切りに引かれ合ったように10mとない距離を瞬く間に詰める。
けたたましく鳴り響いた金属の衝突音で戦鐘を鳴らし、ギチギチと刃を合わせ、互いにその表情を見ると二人共微笑を浮かべている。
「なに笑ってんだよ」
「お前こそ!」
青剣が戟を振り解くように払い、グランの懐へと飛び込む。
右手の青剣を下から突き上げるように振り上げる。軽々とそれをかわされるが、それが彼の狙い。それは相手の視界を一瞬だけ遮る役目を果たすだけで良かった。
状態を反らしたグランの戟の柄を左手で掴み、右足を彼の腹に合て、それを軸に体を地面に滑らせてグランを軽々と後ろに投げる。そして、レイスは身を翻し彼に馬乗りし、青剣をグランの眉間に当てる。
「一本もらった」
「最初から投げかよ。えげつねぇな」
「今日は五十はいただくぞ」
「んじゃおれは百だ!」
朝までこんな戦いが続く。
完
「ラウルに負ける?そりゃどういう事だよ」
金の髪が風に遊ばれているが、酔いしれてしまいそうな月の光を受け、淡緑の双眸は鋭い輝きを放つ。
「あの時気を失っていたお前は知らないだろう。奴の強さが……」
蒼の髪を後ろで加えた青年も碧眼にこの雰囲気を他者に知らしめる程の威圧感があった。
「レイス、いったい何があった?」
もう多くを語る必要は無い。無言で蒼髪の青年は迸る青い閃光をその右手に放ち、それが集束すると彼は細身の青剣を構えていた。
「ただそれだけ覚えていればいい。グラン、これから互いの力を高めるぞ」
グランは金髪を掻き毟り、レイスの独り舞台に招かれたその表情は、気だるそうにしているが反論はせずに一役買う。彼に数多の誣告を並べようともこの状況を回避する事などできないと、彼を昔から知るグランの本能がそう言っているのだろう。
「わぁった!久々にやろうじゃねか!」
瞬くような緑の光を両手に放ち、腰を深く落として構えると戟が形成される。
水を打ったような静寂の中に、二人の放つこの眉間に刺さるような高圧の闘志。
そこに吹き付けた突風。普段なら身を窄めてしまいそうな、その寒風も二人の胸に宿した炎を煽るばかりであった。
疾駆!
互いにその風を皮切りに引かれ合ったように10mとない距離を瞬く間に詰める。
けたたましく鳴り響いた金属の衝突音で戦鐘を鳴らし、ギチギチと刃を合わせ、互いにその表情を見ると二人共微笑を浮かべている。
「なに笑ってんだよ」
「お前こそ!」
青剣が戟を振り解くように払い、グランの懐へと飛び込む。
右手の青剣を下から突き上げるように振り上げる。軽々とそれをかわされるが、それが彼の狙い。それは相手の視界を一瞬だけ遮る役目を果たすだけで良かった。
状態を反らしたグランの戟の柄を左手で掴み、右足を彼の腹に合て、それを軸に体を地面に滑らせてグランを軽々と後ろに投げる。そして、レイスは身を翻し彼に馬乗りし、青剣をグランの眉間に当てる。
「一本もらった」
「最初から投げかよ。えげつねぇな」
「今日は五十はいただくぞ」
「んじゃおれは百だ!」
朝までこんな戦いが続く。
完
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