under bird?
小学校・中学校と、私は嫌われ者だった。
いや、正確に言えば“女子から”ずっと嫌がらせを受けていた。
いわゆる“いじめ”だ。
始まったのはいつだったか、私は覚えていない。物心ついた時にはすでに一部の女子から嫌がらせを受けていた。
小学校高学年になって、すでに日常と化していたソレを解決しようと初めて思った。
しかし、どんなにさかのぼっても私にはその理由がわからなかった。何をしたところで女子たちの態度は変わらずじまいだった。
父の仕事の都合で引っ越したおかげで、高校からはそういう状態から抜け出せたが、女子には苦手意識があって、相変わらず男子といることが多かった。部活も誘われてなった柔道部のマネージャー。女子とはてんで縁がない。
それでも毎日充実していたし、柔道部の部長には気に入られたらしく、いろいろ構ってもらった。
ある時の部活終了後に、私はその部長と部室で二人きりになったことがある。
その時彼は、突然こう聞いてきた。
「お前、夢ってあるか?」
「は?」
私は訳も分からず、きょとんとして彼を見た。
「何、急に」
「いや何か、毎日過ぎるがままに生きてるっていうか……そんな感じがしたからさ。夢みたいなものってあるのかな、と」
ドカッとイスに座って、彼はこちらを見た。
「そう思ったわけよ、俺は」
「……」
私はノートを書く手を止めて、彼の目を避けるように顔を伏せた。
「……夢なんて、ない」
「何でだ?」
顔をのぞき込んでくる彼を避けて、今度は横を向いた。
「そんなもの、あったって意味なんかないから」
いつもの私なら「だからない」とか言って、話を切り上げていただろう。そうならなかったのは、彼だったからなのかもしれない。
「夢なんて叶うわけない。“夢はきっと叶う”なんて嘘もいいとこだと、私は思ってる。本当に夢が叶った人が何人いると思う?」
彼を見据えて、私は言い切った。
「ゼロ、よ」
「……」
私から彼の顔は見えなかった。でも確かに一瞬固まった気配がした。
しかし、すぐにため息をついて彼は言った。
「確かになー。夢が叶った、って奴はほとんどいないだろうし、俺自身、叶うとは思ってない。
けどよ、夢ってそういうものだろ?」
「?」
私は顔をしかめて、彼を見た。
「だから……」
彼も私を見ると、言った。
「夢は叶わないものだろ。
叶わないから夢なんだよ」
いや、正確に言えば“女子から”ずっと嫌がらせを受けていた。
いわゆる“いじめ”だ。
始まったのはいつだったか、私は覚えていない。物心ついた時にはすでに一部の女子から嫌がらせを受けていた。
小学校高学年になって、すでに日常と化していたソレを解決しようと初めて思った。
しかし、どんなにさかのぼっても私にはその理由がわからなかった。何をしたところで女子たちの態度は変わらずじまいだった。
父の仕事の都合で引っ越したおかげで、高校からはそういう状態から抜け出せたが、女子には苦手意識があって、相変わらず男子といることが多かった。部活も誘われてなった柔道部のマネージャー。女子とはてんで縁がない。
それでも毎日充実していたし、柔道部の部長には気に入られたらしく、いろいろ構ってもらった。
ある時の部活終了後に、私はその部長と部室で二人きりになったことがある。
その時彼は、突然こう聞いてきた。
「お前、夢ってあるか?」
「は?」
私は訳も分からず、きょとんとして彼を見た。
「何、急に」
「いや何か、毎日過ぎるがままに生きてるっていうか……そんな感じがしたからさ。夢みたいなものってあるのかな、と」
ドカッとイスに座って、彼はこちらを見た。
「そう思ったわけよ、俺は」
「……」
私はノートを書く手を止めて、彼の目を避けるように顔を伏せた。
「……夢なんて、ない」
「何でだ?」
顔をのぞき込んでくる彼を避けて、今度は横を向いた。
「そんなもの、あったって意味なんかないから」
いつもの私なら「だからない」とか言って、話を切り上げていただろう。そうならなかったのは、彼だったからなのかもしれない。
「夢なんて叶うわけない。“夢はきっと叶う”なんて嘘もいいとこだと、私は思ってる。本当に夢が叶った人が何人いると思う?」
彼を見据えて、私は言い切った。
「ゼロ、よ」
「……」
私から彼の顔は見えなかった。でも確かに一瞬固まった気配がした。
しかし、すぐにため息をついて彼は言った。
「確かになー。夢が叶った、って奴はほとんどいないだろうし、俺自身、叶うとは思ってない。
けどよ、夢ってそういうものだろ?」
「?」
私は顔をしかめて、彼を見た。
「だから……」
彼も私を見ると、言った。
「夢は叶わないものだろ。
叶わないから夢なんだよ」
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