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捨てられ子

[393]  鷹斗  2008-02-02投稿
僕は、公園にいた。
会社の昼休みでコンビニのおにぎりを食べていた。

「あっ!」
おにぎりを落としてしまった。

その時、1人の少年が近づいて来た。
「あの…おにぎりもらっていいですか?」

「えっ?」
僕は、何を言っているか解らなかった。

少年は指をさした。

「それ、汚いよ」
僕は、少年に言う。

「大丈夫です」
少年はそう言うと、砂の着いたおにぎりを拾い食べた。
僕は少年の予想外の行動に何も言えなかった。

「ありがとうございました」
少年は、お礼を言いその場を立ち去ろうとした。

「ちょっと!」
僕は声をかけた。
何故か少年の事が、気になった。

「ごめんなさい…お金ないです」
少年は頭を下げた。

「違うよ、ジュース飲む?」
僕は、少年にジュースを差し出した。

「ありがとうございます」
少年はジュースを手に取ると、僕の隣に座りジュースを飲み出した。

しばらく沈黙の時間が続いた。

「何、やってるの?」
僕が、尋ねた。
「…」
少年は、無言。
「1人?」(僕)
「うん」(少年)
「お母さんは?」(僕)
「いない」(少年)
「お父さんは?」(僕)
「いない」(少年)
「兄弟は?」(僕)
「妹が、いる」(少年)
「妹は、どこにいるの?」(僕)
「親戚の家」(少年)
僕は冗談と思い、軽く聞き流した。
「これから、どうするの?」(僕)
「あそこの神社で寝る」(少年)
「家はどこ?」(僕)
「ない」(少年)
「…」
僕は、意味が解らなかった。
僕は、携帯の時計を見るとお昼休憩が終わる時刻だった。
「家ないなら今日、家に泊まる?」
冗談で言った。
「うん」
少年が、返事をした。
「そんじゃ、この公園で待ってなよ」
冗談で言った。
「うん」
少年が、返事をした。

僕は、慌てて会社に戻った。
少年は、僕の後ろ姿を見つめていた。

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