ナンクルナイサ?
「行くん…?」
「あぁ。歌手になること、夢だったさ…諦められん。」
「そかぁ。そだなぁ。」
「ん〜…」
大切な幼なじみの海(かい)が歌手になるために上京すると言い出した。ここは沖縄。
最初は、歌手なんか無理だと言われていた海だったが、海の気持ちを理解した海の親は、上京を許したのだ。
「もう会えんの?」
「わからん。売れなかったら戻ってくるかもしれん」
内心、そんなことを期待していた私。幼なじみの海とは、いつでも一緒だった。
いきなり離ればなれになることを聞いた私は、一人、応援する振りをしながらも、海の挫折を祈っていたのだ。
…最低。
自分でも嫌気がさしてくる。
「じゃあな」
出発は明日。私のために、わざわざ伝えにきてくれたことは嬉しいけど…やっぱり嫌だよ…
「ただいま」
家に帰ってくるなり、私はベッドにダイブした。眠れないことなどわかっていたが、今はこうすることしかできなかった。
「海…行かんでよ…なんで行くんね…」
一人涙していた。
朝が…別れの朝が…きた。
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