｢もしもし…俺だけど｣

｢あ…滝先輩？｣

｢そう、ちょっと…頼まれてくれ。｣
｢何をですか？｣

｢…ちょっと明日ＭＲＩを緊急でやらなくて、ミーティング出れないんだよ｣
｢ＭＲＩ…って、どこか悪いんですか？｣

｢ちょっと何かひっかかったみたいなんだよね。とりあえず…どういう感じのミーティングとプレゼンテーションかはメールで送る｣

｢お大事に。｣

ブツッ…なかなか不躾な奴だ。
バイバイと言おうとしたために開いた口が虚しい。

｢電話終わった？｣

紗耶が聞く。
｢え…うん。｣

｢じゃあ…なんかしようよお！｣

｢例えば？｣

｢なんでも良いよ。暇を効率的に潰さなきゃね。｣

うちにあるのは…CD、DVD、洗濯機…いや、洗濯機は関係ないな。
｢DVDとか見る？｣

｢どーせ、ハイウェイランとか青い戦場とかしかないんじゃないの？｣

紗耶が笑った
俺のびっくりした顔を見て大爆笑して、さっき漫画を読んでた時の涙か、笑いすぎたのか、涙が出ていた。

｢さっき漫画探した時にあったから言ってみただけ｣
…エスパーだと思った
大体真相はそんなもんだ。

｢好きなんだね。青い戦場。漫画は見たの初めてだけど。｣

DVDの青い戦場は、漫画の実写版だが、俳優達が良いのかわからないが
もう５回中５回泣いている。

｢見る？青い戦場？｣

｢いや、なんか違うの見よう。このマンションの４階に知り合いがいるんだ｣
へぇ。と、ちょっと素っ気ない返事がかえって来たが、気にしない。
｢…もしもし、牟田？あのさ、DVDとゲーム持って来て。え…レンタル料はとらなくて良いだろ？｣

うしろから女の声がするが…まぁＡＶだろう。

見てくれを気にしない所や
不清潔な感じのオタクだったから
俺が誤解を解いてやらなかったら今ごろ留置所にいたかも知れないあいつ。

｢電話切るから｣と言われて我にかえった。

まぁしばらくは暇は解消されるだろう。
後二日、耐えたら会社に行けるし、パチンコもスロットも出来る。
余裕な気がしてきた。

早く寝ないかな。
紗耶。
俺の寝床がそれで決まるんだから。
一緒に寝るのだけは勘弁して欲しい所だ。

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