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君の涙と僕の決意

[252]  なお  2008-02-04投稿

「別れよっか…」

「………………」

彼女の気持ちに気づいていた俺は、あえて返事をしない。

どんな返事をしたって、結果が変わることはないと、わかっていたから。

「ありがとね。今まで…」

「………………」

辛いのは彼女も一緒かもしれない。俺が笑顔で見送れば、それで済む話だ。

「………………」

ついに彼女も黙ってしまった。俯いていて…どんな表情をしているか分からない。

「ごめんな」

ようやく振り絞って出した言葉。予想以上にかすれていて、自分の声とは思えなかった。


「何で謝るの?」

「何もできなかったから。幸せにするって約束守れなかったから」

「それは………」


付き合い始めたころ、誰よりも幸せにすると誓った。

果たされることは、永久になかった。


「仕方ないじゃない。」

「そんなことねぇよ」

「いいわ。もう謝らないで。」

「そうか…」


未練も何も残したくないのだろう。彼女は、にらむように俺を見た。

俺は、なぜか優しく笑っていた。

「最後までずるいのね…」

「え?」

「聞いてないわ。謝るなんて。いっそのこと罵ってくれてかまわないのに。」

「好きだからだよ、まだ。お前のことが…」

「………!!」

予想外の言葉だったのか、驚きを隠せないまま、彼女は言い放った。


「断ち切るって言ったのはアンタでしょ!!さいてーっ!」

涙を流しながら去っていったあの人。好きって言う言葉を恨んだ。

冷たい冷たい雨が降る、真夜中の出来事だった。

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