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人食神の林

[746]  レオン  2008-02-05投稿
そして枝を水面から出した途端、俺等は固まってしまった。
枝には真っ黒な長い髪の毛がビッシリとついていた。

俊 「うわぁ〜」

俊は枝を放り投げて、後ろに尻餅をついた。

俺 「今の何だよ?何か此処や っぱヤバイんじゃない?」
俊 「さ、さっきのは、ただの藻 だよ。きっとそうだ」

俊が尻を払いながら沼を覗き込んだ。俺も覗いた。
さっきまでは気がつかなかったけど、沼は妙に生具さくて 変な匂いがする。

ポコポコと沼の真中辺りから気泡が出ていた。何だろうと二人で黙って見ていると、何か黒い物が上ってくる。

俺 「あ、あれ何だ!?」

俺等は動けずに固まっている間に、それはゆっくりと上って来る。

人の頭だ!!!!!

それは水面に見開いた目まで出すと俺等を睨む様に見た。
俊・俺 「ひぃ〜〜〜」

二人で無我夢中で走った。走ってる間にそれは顔をすっかり水面に出した様で

「ウ゛〜ウ゛ゥ〜〜」

という呻く様な声が響いていた。

気が付くと神社の鳥居の所に一人で立っていた。

俺 「俊!!!」

「此処だよ」

声がする方を向くと、俊は境内の方を見て立っていた。

俺 「大丈夫かぁ?」
俊 「………あぁ」

そこで俺の記憶は無くなっていて、気が付くと家で寝ていた。

母 「聡、起きて!俊君が亡く なったって…。」
俺 「えっ!さっきまで一緒だ ったのに…」
母 「何寝ぼけてんのよ。あん た学校から帰ってきてす ぐ寝たじゃない。」

さっきのは夢だったのだろうか…。

母親によれば、俊は一人で遊びに出掛けたそうだ。夜になっても帰てこない俊を心配して大人5人で探すと、人食神の林の沼でうつぶせに浮ぶ俊を見つけたそうだ。

その時、俺は想い出してしまった。沼から出て来る顔。
あれは、あの目は俊だった。
あの呻く声も俊の声。

その事を母親に言うと、仲良しだった俺に見つけて欲しいと言うメッセージだったんだと言った。

けど俺はもう一つ想い出してしまった。記憶がなくなる前に俊が言った言葉…

「もう少しだったのに。もう少しでお前も死んだのに…」

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