KISARAの恋[14]
――19時50分。
2人の間にはパスタ皿とフォークが当たる音しかなかった。
酒も飲んでないのに、頭がボーっとする、言葉も出ない貴更。奈緒はパスタを綺麗に食べるなぁと何となく眺めているだけだった。
ほぼ、終わりかけの頃、奈緒の方が話しを始めた。
「あのね、自分からこんなことを言うのは初めてやってん」
だろうなぁと、普段、バイト先では控え目な奈緒のことやし、と貴更は思った。
「奈緒ちゃんにしては大胆やったな」
「桜木くんがね、優木くんには、ちゃんと言わないと通じない超鈍感な奴やからって」
「まぁ、鈍い鈍いとはあいつには言われてるけどな。どうやら、そうらしいわ」
「メル友に取られる前に話をしておいた方がいいって言ってたよ」
そんなことまで。と貴更は思ったが、そうだ、問題は俺や。と変な汗が背中を伝わるのを感じた。
とりあえず、ドリンクを注文し、話を続ける以外にないと、コーヒーをオーダーした。
暫くの沈黙の後、貴更の方から話を始めた。
「正直に話すから、ちゃんと受け止めて欲しいねん。ええかな?」
「うん…」
「好きだって言われた経験が殆どないから、かなり動揺してるけど嬉しかった。まずはお礼を言っておかないとな、ありがとう」
「う…ん」
「でな、気持ちは嬉しいけど、すぐには返事はできへんわ。他に好きな人がいるとか、メル友のこととかじゃなくてな。特にメル友とはまだ何にもないしな…」
「優木くんらしいね」
「あ、あの、奈緒ちゃんのこと、嫌いとかそんなんじゃないねんけどな…」
「…なんて言うか、その…」
「う〜ん」
言葉に詰まる貴更だが、奈緒に向かって、貴更は言葉を絞り出した。
「返事いつになるか分かれへんけど、どれくらい待ってもらえるんかな?」
恋愛経験の少なさを物語る、失礼な言葉だと気が付いたのはもっと後になってからだった。
「それは、優木くんが返事してくれるまで待ってるけど」
「出来るだけ早く結論出したいけど、じっくり考えたいし、俺もそれなりの年齢やからな…」
「真剣に私のこと考えてくれて、それで優木くんが出した結論なら、文句はないから…」
この時、貴更は奈緒がどれだけ、自分のことを想ってくれているのかを知った。
「コーヒー冷めるから、飲もうか」
「うん」
貴更のタバコを持つ手が微妙に震えていた。
2人の間にはパスタ皿とフォークが当たる音しかなかった。
酒も飲んでないのに、頭がボーっとする、言葉も出ない貴更。奈緒はパスタを綺麗に食べるなぁと何となく眺めているだけだった。
ほぼ、終わりかけの頃、奈緒の方が話しを始めた。
「あのね、自分からこんなことを言うのは初めてやってん」
だろうなぁと、普段、バイト先では控え目な奈緒のことやし、と貴更は思った。
「奈緒ちゃんにしては大胆やったな」
「桜木くんがね、優木くんには、ちゃんと言わないと通じない超鈍感な奴やからって」
「まぁ、鈍い鈍いとはあいつには言われてるけどな。どうやら、そうらしいわ」
「メル友に取られる前に話をしておいた方がいいって言ってたよ」
そんなことまで。と貴更は思ったが、そうだ、問題は俺や。と変な汗が背中を伝わるのを感じた。
とりあえず、ドリンクを注文し、話を続ける以外にないと、コーヒーをオーダーした。
暫くの沈黙の後、貴更の方から話を始めた。
「正直に話すから、ちゃんと受け止めて欲しいねん。ええかな?」
「うん…」
「好きだって言われた経験が殆どないから、かなり動揺してるけど嬉しかった。まずはお礼を言っておかないとな、ありがとう」
「う…ん」
「でな、気持ちは嬉しいけど、すぐには返事はできへんわ。他に好きな人がいるとか、メル友のこととかじゃなくてな。特にメル友とはまだ何にもないしな…」
「優木くんらしいね」
「あ、あの、奈緒ちゃんのこと、嫌いとかそんなんじゃないねんけどな…」
「…なんて言うか、その…」
「う〜ん」
言葉に詰まる貴更だが、奈緒に向かって、貴更は言葉を絞り出した。
「返事いつになるか分かれへんけど、どれくらい待ってもらえるんかな?」
恋愛経験の少なさを物語る、失礼な言葉だと気が付いたのはもっと後になってからだった。
「それは、優木くんが返事してくれるまで待ってるけど」
「出来るだけ早く結論出したいけど、じっくり考えたいし、俺もそれなりの年齢やからな…」
「真剣に私のこと考えてくれて、それで優木くんが出した結論なら、文句はないから…」
この時、貴更は奈緒がどれだけ、自分のことを想ってくれているのかを知った。
「コーヒー冷めるから、飲もうか」
「うん」
貴更のタバコを持つ手が微妙に震えていた。
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