友達のまま君に恋をする…?
「ねぇー…翔ちゃん!」
「んぁ?」
話しかけてきたのは、幼なじみの沙恵。昔から、仲が良くて、腐れ縁から、高校まで一緒だ。
「あのさ…相談があるんだけど……」
「………相談?」
沙恵は、昔からしっかり者で、お姉さんのような存在だった。そんな沙恵から、真面目な相談を受けるのは、初めてかもしれない。
「んじゃ、放課後、屋上きて?」
「…?………おぅ」
俯いて、沙恵は走り去っていった。
俺はその後ろ姿を、見送ることしかできなかった。
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「………沙恵?」
放課後、沙恵に言われたように、屋上まで来た。沙恵も、すでに来ていたみたいだ。
「翔ちゃん!ありがとうね!来てくれて…」
「いいけど…なんだよ…?相談って…」
「あぁ…あのさ…
緑川君って…好きな人いるのかな?」
背筋が凍ったように、動かなかった。冷たさは、背筋からじわじわと伝って、俺は、氷と化した。
「緑川……?」
「翔ちゃん、同じ陸上部だよね?知ってるかなって思って…」
「あぁ…わり…わかんねーわ…」
言葉が上手く紡げない。動かすことができない。
「そっか…」
「そんだけか?用は…俺、行くな。」
それしか言えず、俺は屋上を立ち去ろうとした。
すると、後ろから…
「あのね…!私、緑川君のこと、もっと知りたいの!…ちょっとずつでいいの…ねぇ?」
バカやろう…
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