神を超えるシナリオ【裏】
見上げれば数多(あまた)もの星屑。
見下ろせば幾多(いくた)もの鉄屑。
戦場(いくさば)の熱く心地好い風に、腰まで届く優雅な黒髪を靡(なび)かせ。鉄塔に佇(たたず)み、辺りを一瞥する者が一人。
眼下には原型がわからないほど斬り刻まれた鉄の残骸と、苦痛に呻く黒服集団の姿が広がっている。
佇む者はトドメを刺せれるぐらい研ぎ澄まされた双眸を集団の方へ戻すと、左手に持つ鞘に刀を納め瞳を閉じた。
[佇む者]「……ふぅ」
軽く深呼吸し、精神統一する。戦の後の静寂。
無音の勝鬨(かちどき)があがる。
だが、――
[オペレーター]「敵増援を確認!」
――左の耳に取り付けた小型通信機からの報告とともに静寂は破られ、新たな鬨が叫ばれた。
ゆっくりと瞼(まぶた)を見開き、夜闇にまぎれてこちらに向かってくる複数の影を瞳にとらえる。
[オペレーター]「どうやら先程の敵は先陣だったようです。直ちに迎撃、防衛をお願いします!」
[佇む者]「承知」
返答するよりも早く佇む者は手に持つ鞘に力を込めると、再び戦場に舞い降りていた。
着地した周囲から取り囲む様に現れる影達。先程の黒服とは違い、黒いアーマーを全身に武装している。
火線が反対側の味方に重なっていようがお構いなしに、佇む者を中心に全包囲から各々が持つマシンガンを構えてくる。
[影]「殺ッ!」
一人の影が号令を発した瞬間、閃光(マズルフラッシュ)が夜闇に迸(ほとば)しった。銃弾の雨が夕立のように一気に中心へと降り注ぐ。
さらに、そこへ驚くような事が起きた。
なんと標的から外れた流れ弾が影達のアーマーに当たると、跳弾となって荒れ狂い始めたのだ。
跳弾の勢いはとどまるところを知らず、なおも増加し獲物を殺すまで暴れ回る。
もはや視界は閃光と銃弾で埋め尽くされ、夕立は弾幕渦巻く嵐と化した。
あとに残るのは血と硝煙のみ。肉塊どころか肉片さえ残るはずもない。
………はずだった。
「奥業(おくぎ)・塵芥(じんかい)」
[影達]「!?」
銃声がこだまする嵐の中、聞こえてきた鋭き声。
刹那。
嵐は斬り裂かれるように掻き消さた。目の前に広がるありえない光景に影達は体を硬直させる。
侍?いや、巫女さんが立っている。いや、悠然と構えてさえいる。
――斬り伏せられた銃弾の真っただ中に“異形”が顕(あらわ)れた――
…続きます
見下ろせば幾多(いくた)もの鉄屑。
戦場(いくさば)の熱く心地好い風に、腰まで届く優雅な黒髪を靡(なび)かせ。鉄塔に佇(たたず)み、辺りを一瞥する者が一人。
眼下には原型がわからないほど斬り刻まれた鉄の残骸と、苦痛に呻く黒服集団の姿が広がっている。
佇む者はトドメを刺せれるぐらい研ぎ澄まされた双眸を集団の方へ戻すと、左手に持つ鞘に刀を納め瞳を閉じた。
[佇む者]「……ふぅ」
軽く深呼吸し、精神統一する。戦の後の静寂。
無音の勝鬨(かちどき)があがる。
だが、――
[オペレーター]「敵増援を確認!」
――左の耳に取り付けた小型通信機からの報告とともに静寂は破られ、新たな鬨が叫ばれた。
ゆっくりと瞼(まぶた)を見開き、夜闇にまぎれてこちらに向かってくる複数の影を瞳にとらえる。
[オペレーター]「どうやら先程の敵は先陣だったようです。直ちに迎撃、防衛をお願いします!」
[佇む者]「承知」
返答するよりも早く佇む者は手に持つ鞘に力を込めると、再び戦場に舞い降りていた。
着地した周囲から取り囲む様に現れる影達。先程の黒服とは違い、黒いアーマーを全身に武装している。
火線が反対側の味方に重なっていようがお構いなしに、佇む者を中心に全包囲から各々が持つマシンガンを構えてくる。
[影]「殺ッ!」
一人の影が号令を発した瞬間、閃光(マズルフラッシュ)が夜闇に迸(ほとば)しった。銃弾の雨が夕立のように一気に中心へと降り注ぐ。
さらに、そこへ驚くような事が起きた。
なんと標的から外れた流れ弾が影達のアーマーに当たると、跳弾となって荒れ狂い始めたのだ。
跳弾の勢いはとどまるところを知らず、なおも増加し獲物を殺すまで暴れ回る。
もはや視界は閃光と銃弾で埋め尽くされ、夕立は弾幕渦巻く嵐と化した。
あとに残るのは血と硝煙のみ。肉塊どころか肉片さえ残るはずもない。
………はずだった。
「奥業(おくぎ)・塵芥(じんかい)」
[影達]「!?」
銃声がこだまする嵐の中、聞こえてきた鋭き声。
刹那。
嵐は斬り裂かれるように掻き消さた。目の前に広がるありえない光景に影達は体を硬直させる。
侍?いや、巫女さんが立っている。いや、悠然と構えてさえいる。
――斬り伏せられた銃弾の真っただ中に“異形”が顕(あらわ)れた――
…続きます
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