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他殺倶楽部

[762]  あいじ  2008-02-11投稿

それは実に奇妙な光景だった。
部屋中のどこを向いても鏡が張り巡らされ、暗く澱んだ空気が行き場を失い部屋全体を漂っていた。
そして更に奇妙なことにそこに無造作に置かれた椅子に全裸の少女が座っていた。
まだ顔にあどけなさの残る少女である。少女は羞恥と期待に顔を赤らめながら暗闇をじっと見つめていた。
暫くすると、足音ともに女性が現れた。女性は少女の方を向き笑顔で云った。
「じゃあ、会員番号とお名前を教えてください」
「会員番号227番、芦村早苗です」
早苗と名乗った少女の声が響いた。
女性は会員番号と名前を用紙に記入し、次の質問に移った。
「アナタが望んでいる殺され方を教えてくれるかしら?」
早苗は少し恥じらい小さく頷いた。
「えっ…と…恥ずかしいんですけど…頭を撃ち抜かれてみたいです…」
「その理由は?」
「ちっちゃい頃見たアメリカの大統領が暗殺されるシーンで…パーンって銃声がして、大統領の頭が吹き飛んで…吹き出た脳みそを隣の奥さんが集めようと乗り出すんです。私…それ見て…胸がドキドキして…」
「つまり、アナタは頭を撃ち抜かれた後、吹き出た脳みそを見たいってこと?」
「はい…」
女性は暫く考えていたが、思いついたように懐から注射器を取り出し薬品を調合した。
「弾丸が脳を貫くと一時的気を失うんだけど、モルヒネとアドレナリンを注射してそれを和らげるわ。さぁ、こっちへきて」
女性は早苗を正面の鏡の前に立たせた。モルヒネが効いているのか足取りがおぼつかず、どこか虚ろだった。
「動かないでね…的が外れるから」
「はひ…」
女性はゆっくりと銃を構え引金をひいた。


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