河童に会った話1
近所に二ヶ領用水というものが流れている。にかりょうようすいと読むのだが、どういったものかを説明するのは面倒なので、知りたければぜひ自分で調べてほしい。川崎市の小学校に通っていた者ならば確実に知っていることだろう。まぁ簡単に言ってしまえば整備された川のことだ。天気の好い日には散歩に訪れる人も多い。
ある日、僕がそのすぐそばを歩いていると川のほうから呼び止められた。
「オニイチャン、オニイチャン!ちょっと!」
見ると川に釣り糸を垂らした老人が手招きをしている。何だろう?とは思いつつもとりあえず近づいてみることにした。
「なんですか?」
「オニイチャン、いきなりで悪いんだけど、ちょっと竿見ててもらえない?オジサン急に腹下しちゃって。オジサンの家すぐそこだから、ちょっと行ってウンコしてくるからそれまで。ホントにすぐだからお願いっ!」
そう早口に言って老人は僕を片手で拝んでいる。断ったらどんな顔をするのだろうと少し気になったが、特別断る理由も僕にはなかった。
「いいですよ」
「ありがと、悪いねっ!」
老人は僕に釣竿を渡すと腹を押さえながら走っていった。
受け取った竿を川に垂らして座り込む。浮きなどは付けず針に餌を付けただけのもののようだ。そういえば釣りなんか久しぶりだな、などと考えていると『釣り禁止!』の立て看板が目に入った。ちょっぴり罪悪感。ま、この川に釣り人がいるのは当たり前の光景なのでいちいち取り締まってなどいないだろう。
アタリの気配など微塵もなく、ただただ穏かな時間が流れていく。魚の姿は見えてはいるのだが、どうやらこの針についた餌はお気に召さないようで近くによってくる気配すらない。自分の竿ではないのではっきり言って限りなくどうでもいいことではある。
しかし、やはりただ釣り糸を垂らしているだけというのもものすごく退屈だ。まだ一〇分も経っていないのだが、早くも飽きてきてしまった。そもそも僕は釣りに向いている性格ではないのだ。だったら引き受けるなよと、どこかから突っ込みでもきそうだが引き受けてしまったものは仕方がない。我慢しよう。
ある日、僕がそのすぐそばを歩いていると川のほうから呼び止められた。
「オニイチャン、オニイチャン!ちょっと!」
見ると川に釣り糸を垂らした老人が手招きをしている。何だろう?とは思いつつもとりあえず近づいてみることにした。
「なんですか?」
「オニイチャン、いきなりで悪いんだけど、ちょっと竿見ててもらえない?オジサン急に腹下しちゃって。オジサンの家すぐそこだから、ちょっと行ってウンコしてくるからそれまで。ホントにすぐだからお願いっ!」
そう早口に言って老人は僕を片手で拝んでいる。断ったらどんな顔をするのだろうと少し気になったが、特別断る理由も僕にはなかった。
「いいですよ」
「ありがと、悪いねっ!」
老人は僕に釣竿を渡すと腹を押さえながら走っていった。
受け取った竿を川に垂らして座り込む。浮きなどは付けず針に餌を付けただけのもののようだ。そういえば釣りなんか久しぶりだな、などと考えていると『釣り禁止!』の立て看板が目に入った。ちょっぴり罪悪感。ま、この川に釣り人がいるのは当たり前の光景なのでいちいち取り締まってなどいないだろう。
アタリの気配など微塵もなく、ただただ穏かな時間が流れていく。魚の姿は見えてはいるのだが、どうやらこの針についた餌はお気に召さないようで近くによってくる気配すらない。自分の竿ではないのではっきり言って限りなくどうでもいいことではある。
しかし、やはりただ釣り糸を垂らしているだけというのもものすごく退屈だ。まだ一〇分も経っていないのだが、早くも飽きてきてしまった。そもそも僕は釣りに向いている性格ではないのだ。だったら引き受けるなよと、どこかから突っ込みでもきそうだが引き受けてしまったものは仕方がない。我慢しよう。
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