河童に会った話3
河童はじっと座っているだけだった。何をしているのだろうと思って様子を見ていると、若干前かがみになっているように見えた。あれはもしかしたら甲羅干しをしているのかもしれない。亀のそれとよく似ている。河童は数分間もそうしていたかと思うと突然立ち上がり、おもむろに川の中に手を突っ込んだ。河童が川から手を出すと、そこには胡瓜の載ったザルが掴まれていた。川で胡瓜を冷やしていたらしい。
河童は取り出した胡瓜をバリバリとかじり始めた。その姿を見て僕は、「河童って本当に胡瓜食べるんだ」などと妙な感心をしていた。あいかわらず河童の存在そのものには、特別疑問も何も感じてはいなかった。本当にどうかしていたとしか思えない。
三本ほど胡瓜を食べた河童は、立ち上がってザルを川の中に戻すとじっと僕の目を見つめ、そっと立て看板を指差して静かに川の中へと戻っていった。
それから程なくして老人が小走りに戻ってきた。
「いや〜、オニイチャンごめんねぇ遅くなっちゃって。家帰ったらカアチャンが昼飯作っててさぁ。食べてきちゃったよ」
「いや、構いませんよ。どうせ暇でしたから」
「いやいや、ホント悪いね。ところで釣れた?」
僕は餌の無くなった釣り針を見せた。
「全然ダメですね。ピクリともきませんでしたよ。今日はやめておいた方がいいんじゃないですか?それにほら、よく見たら釣り禁止って書いてあるし」
「ダメかぁ…。じゃあ、今日は片付けて帰るか。オニイチャン助かったよ、ありがとね!」
「それじゃ、これで失礼します」
僕は老人に竿を渡して家に帰った。
河童は取り出した胡瓜をバリバリとかじり始めた。その姿を見て僕は、「河童って本当に胡瓜食べるんだ」などと妙な感心をしていた。あいかわらず河童の存在そのものには、特別疑問も何も感じてはいなかった。本当にどうかしていたとしか思えない。
三本ほど胡瓜を食べた河童は、立ち上がってザルを川の中に戻すとじっと僕の目を見つめ、そっと立て看板を指差して静かに川の中へと戻っていった。
それから程なくして老人が小走りに戻ってきた。
「いや〜、オニイチャンごめんねぇ遅くなっちゃって。家帰ったらカアチャンが昼飯作っててさぁ。食べてきちゃったよ」
「いや、構いませんよ。どうせ暇でしたから」
「いやいや、ホント悪いね。ところで釣れた?」
僕は餌の無くなった釣り針を見せた。
「全然ダメですね。ピクリともきませんでしたよ。今日はやめておいた方がいいんじゃないですか?それにほら、よく見たら釣り禁止って書いてあるし」
「ダメかぁ…。じゃあ、今日は片付けて帰るか。オニイチャン助かったよ、ありがとね!」
「それじゃ、これで失礼します」
僕は老人に竿を渡して家に帰った。
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