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頑張ってる君へ…

[299]  なお  2008-02-15投稿

「ねぇ…悠(ユウ)ちゃん…抱きしめて?」


「………どした?」


「いぃから……」


いきなり、彼女の栗原 成美からの大胆な要望が飛んできた。俺、斎木 悠は、困惑の顔を浮かべる。


「わかった」


彼女のこんなお願いを聞かない男はいない。俺は、成美を後ろから優しく抱きしめた。


「………ぁりがと」


聞こえるか聞こえないくらいの声で、成美は小さく礼を言った。

俺は、黙ったまま彼女の体温を上げていった。


「泣きそう…?」


成美は小さくうなずいた。言葉が出せないのだろうか…


「いぃよ…泣いて…誰もいないから…」


成美は小さくうなずいたあと、声を殺しながら泣いていた。だけど、華奢な肩はふるえていて、切なさがにじみ出ていた。


「何があった…?……………言いたくないか?」


成美がしばらく躊躇った後に、小さなこえで「ぅん」と言ったので、俺は詮索するのをやめた。


だけど、いつも頑張っている君を見ていれば、何となくだけど、理由はわかるんだ。

人一倍頑張っている君は、失敗したり、うまく行かなかったりすると、その分悲しくなったり、悔しかったりするんだよね?


今は、理由なんて良いから、涙を流して、そして元気を出して。

できる男でいるつもりだよ。君の涙を受け入れるね。


「なぁ…成美。次は俺と一緒に頑張ってみるか…な?」


成美がまた小さくうなずいた。今の俺にはそれで良い。

おまえの笑顔が見れるまで、側にいるからさ。

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