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窓越しの笑顔 最期

[711]  レオン  2008-02-16投稿
「お〜い!今行くぞ〜!」

おじさんは窓から叫んだ。

ヤバイ?

私は走った。
マンションに入り、部屋の鍵とチェーンをかけ、布団に潜りブルブルと震えていた。

しばらくすると

ペタッ ペタッ ペタッ

っと裸足で歩いて来る音が聞こえた。
怖くて震えた。
息を殺していると

「お〜い!!何処いったんだぁ」
とおじさんの叫ぶ声がした。その声は徐々に私の部屋へと近寄って来る。

来ないで?

私は心の中で叫んだ。

「お〜い!お〜い!」
ペタッ ペタッ

どうやら一部屋一部屋様子を伺っているようだ。

そして、とうとうおじさんの声が私の部屋の前で止った。
「おかしいなぁ。ここにいるのかなぁ…」

おじさんの独り言が静かな部屋に響いてきた。

「何処行ったんだぁ。ここにいそうなんだけどなぁ。」

私は目を閉じて布団の中でじっと居なくなるのを待っていた。

何時間経ったろう。
気配がなくなり、声もしなくなった。

私は布団から顔を出して様子を伺った。部屋の中は真っ暗だった。

良かった〜。
居なくなった。

私はふぅ〜と息をついて部屋の電気をつけた。

「ヒッヒッヒッ みぃ〜つけたぁ〜」
ドアの郵便受の隙間からおじさんがニタニタした目付きでこちらを見ていた。

その後私はどうなったのか覚えていない。
ただ、目が覚めたら私は病院のベットの上で、どうやらここは精神病棟の様。私は口がきけなくなった。おじさんの笑い声が耳から離れない…。

私は今窓の外を毎日眺めています。
誰か手を振ってくれるのを毎日待っています。
この辛い日々から早く抜け出したいから。
おじさんの笑い声を早く消し去りたいから。
あの日のおじさんの様に私は待っています。次の人を…。



もし窓から外を眺めている人がいても、決して手を振らないで下さい。

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