画 家
今日はいつだろう
今日だからいまだろう
絵を描いてみようと思う
なにを描こうか迷う
熟考
眠っている才能の暗示なのだろうか鋭く閃いた
自画像を描こう
熟考
自分がどんな顔だったか忘れた
才能がある人間は
容姿に興味がないのだ
自分の奏でる作品にのみ
愛を注ぐものなのだ
しかし顔が分からなければ自画像は描けない
鏡がないんだ
唯一ある鏡といえば
洗面台にくっついてるやつそこに行くしかない
めんどくさいが
自分の才能を呼び覚ます為重い腰をあげる
鏡に映るそれを見た
未来の自分が映っていた
今日はいつだ
まるで初対面の他人と
向き合っているみたいだ
自分の思った通りの動きをするから自分なんだろうが
そもそも
こんな顔など描きたくはない
来たついでに歯を磨くことにする
歯ブラシ粉がない
買うのを忘れていた
洗面台を蹴った
怪我をしないように手加減して蹴った
今日はもう寝ようと思う
今日はいつだ
今日はいまだ
未来である今から
過去である今を
描いている
ずっと変わらない
明日
歯磨き粉を買いに行こうと思う
二〜三こ買い置きしておこう
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