眼(ガン)
小学生の頃
初めて死体を見た。
天井からユラユラと
まるで軒下で風に吹かれた時の風鈴の様に揺れていた。
窓から差し込んだ西日に照されてそれは美しく揺めき、私はしばらくの間眺めていた。
父と母…
二つの影は長く私の足元まで伸びた。
悲しくはなかった。
冷たくなった母の目から溢れていた真赤な涙を私は自分の小さな手で拭ってあげた。
「泣かないで…」
幼い私に二人の事情は分らなかったけれど、その日から私は一人ぼっちになってしまったという事は分かった。
初めて死体を見た。
天井からユラユラと
まるで軒下で風に吹かれた時の風鈴の様に揺れていた。
窓から差し込んだ西日に照されてそれは美しく揺めき、私はしばらくの間眺めていた。
父と母…
二つの影は長く私の足元まで伸びた。
悲しくはなかった。
冷たくなった母の目から溢れていた真赤な涙を私は自分の小さな手で拭ってあげた。
「泣かないで…」
幼い私に二人の事情は分らなかったけれど、その日から私は一人ぼっちになってしまったという事は分かった。
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