夏にも風にも
扇風機の前で声を出していたら裕太に「お前ばかじゃねぇの?」と言われた。
「ああ゛あ゛あ゛ー、バカじゃな゛い゛でずー」
「はぁっ」
ため息を吐いた後、サキちゃんは子供でちゅねー、と宿題のプリントに目を向ける彼は、私の幼なじみだ。高校一年生の今の今まで仲良くて、そんな裕太に私は秘密がある。
「あちぃから扇風機回して」
そう言って宿題を続ける裕太に、私は扇風機を向けてあげると隣からじっと顔を見つめた。
「なに」
「好き」
「ふーん、そう」
そう言った後すぐに裕太は驚いた。
「はっ、好き?!」
裕太の髪はふわふわしていて触ったら気持ちよさそうだ。そう思ったら勝手に手が伸びた。
「ずっと好きだったよ」
意外にも冷静に言える私は、度胸があるんじゃないだろうか。目の前で顔を真っ赤にしている裕太よりは、と思った。予想通り、裕太の顔はふわふわしていて気持ちいい。
「裕太は?あたしのことどう思う?」
「俺は、」
一度私から目をそらすと、裕太は「俺も好き」と続けた。キスをしている間、穏やかに吹く扇風機の風が心地よかった。
感想
- 8961: 感想ありがとうございます!私はもうすぐ中3です。サリーさんの次回作品を楽しみにしています。 お互い頑張りましょう! [2011-01-16]
- 8962: ごめんなさい!名前忘れてましたっ!前の文章、咲です。 [2011-01-16]