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スイッチ

[563]  七味  2008-02-19投稿
目が覚めると、白銀に輝く、4角形の部屋にいた。広さは5畳強はあり、明るかった。男は、何故自分がここにいるのだろうと不思議に思いながらも立ち上がった。出口を探したが、そのようなものは一つもない。あるものは、上下左右前後にある、6つのスイッチ。男は何かしら恐怖を感じた。自分は何かを試されているのか?それとも、何かの実験とか……。男は座り、考え始めたが、この部屋に来る前の記憶がない。自分の服装も見たが、普通のただの普段着だ。そして何より、男はあのスイッチが気になっていたのだ。
男は、試しに1つのスイッチを押してみようと決心した。押したら、何が起こるか想像もつかなかったが、男は好奇心もあったのか、それを試した。2cmくらいあるスイッチは不気味な機械音を鳴らしながら、赤く点滅した。その時、スイッチの下から5cmくらいの保護色をした扉が開いた。男は驚き身構えたが、その必要はなかった。その扉の中には、コップ1杯の水が入っていた。その水を見ると、自分が喉が渇いている事に気付いた。コップを手に取ると、まず匂いを嗅ぎ、安全である事を確認するなり、喉に流し込んだ。男はコップを扉に戻そうかと迷ったが、何かしら使えると思い自分が持つ事にした。扉は閉まって、綺麗に壁に収納されもはや壁と一体になったと言っても過言ではなかった。
あれから7時間、いや10時間は経っただろうか。男は次第に無気力になり、空腹を覚えた。何故自分はここにいるのだろう、何故このような目に遭わなければならないのだろう、等と考えても何も解決に繋がらない事を察し、とにかく、この部屋の秘密を握るスイッチを押してみようと思った。まず、真上にあるスイッチ。再びあの機械音が聞こえて来た。……だが、すぐには消えなかった。機械音は続く。ふと、男は違和感を覚えた。天井が下がってきている!5秒に1cmくらいだろうか、少しずつ確実に下がってきている。男は絶望と恐怖にかられ、自分でも何をしているか分からないような行動をしていた。スイッチをがむしゃらに押すが、無反応。男の目から涙が溢れ、自分の叫びが感じられなくなっていた。

………数分後、コップの割れる音が鮮明に聞こえた。


ここは死刑場。残忍な死刑囚の記憶を消し、6分の1の確率で殺すという新たな方法に変わったのだった。

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