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恋愛臆病者?

[107]  爽香  2008-02-21投稿
深花の迎えは、いつもなら郁子の役目だった。それがよりによって、こんな日に深月が行くハメになるなんて、とことんツイていない自分に思わず溜息が漏れた。
泣きすぎて腫れ上がった瞼、寝不足でできたクマに、荒れた肌…。そんな顔でもメイクでカバーする程の元気もなく、深月は、深花の待つ保育園までの道をとぼとぼと歩いていた。

今年、六歳になる深雪の一人娘・深花には父親がいない。大学を卒業して今の会社に入社した深雪は、当初、札幌の支店で研修を兼ねて勤務していた。そのときに出会った札幌支店の支店長が深花の父親だという。
妊娠に気付いたのは、半年の研修を終え東京に戻ってきたときだった。初めは頑なに父親の正体を明かさなかった深雪だったが、ようやく全てを話したときには、既に臨月を迎えていた。深花の父親である男性には、家族があった。だが、深雪は彼を愛しており、だからこそ彼の生活を壊したくないと、彼には子供の存在を告げず、一人で育てていくことを決意したのであった。
当時、まだ高校三年だった深月には、そんな深雪が理解できないでいた。愛しているなら何があってもその人と結ばれたい、永遠に一緒にいたいと思うものではなかろうか、と。しかし、深雪が一人で育てていくと決めた以上、その話題がタブーであるかのような空気が、藤城家には流れていた。だから、深花が生まれてから、深花の父親のことに関して、深月も、郁子、深雪本人も触れることはなかった。
「月ちゃ〜ん!」
園庭で遊んでいた深花は、深月を見つけると一目散に深月目掛けて走ってきた。
「深花、お迎え来たよ。」
そう言って、深月は深花を抱きしめた。すると、深花が
「どうしたの?おめめ、赤いよ。」
と、深月の顔を触った。まさか、さっきまで失恋で大ベソかいていたとは言えない。
「あ、あれ?なんだかゴミが入っちゃったみたい。」
深月は、そうごまかして一人で笑った。深花は、どことなく不思議そうな顔付きで深月を見ていた。
「そうだ!ケーキでも食べて帰ろうか。」
「うん!」
深月と深花は、互いに満面の笑みを浮かべた。

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