睡蓮の花が咲く頃に… ―別れの日―
次の日、朝目覚めるとわたしは病院の空き部屋にいた。側にはやはり、マサがいた。マサはやさしく、「おはよう。」と言った。それから、売店で買ってきたジャムパンとりんごジュースを手渡した。幼い頃から兄弟のようにして育っただけあってマサは本当に何でも分かっているんだなと美緒は大好きなジャムパンを見つめてそう感じた。朝食をとった後、拓の遺体は病院が拓の葬儀が営まれる斎場まで運んでいった。わたしは拓の父が運転する車に揺られ家まで送ってもらった。家の前に着き車を降りると「通夜は今日の午後から、葉山葬祭であるから。」マサがそう言うとわたしは軽く会釈して家に入った。それから、シャワーを浴びて自分の部屋に入って拓と撮った写真をずっと眺めていた。涙が止まらなくなった。拓と撮った大事な写真が美緒の瞳からこぼれた涙でふにゃふにゃになってしまった。ぼんやりしているうちに5:30になった。家から斎場までは30分あれば十分間に合う。制服に着替えて、通夜に行く準備をした。
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