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君に捧ぐ 〜15〜

[375]  k-j  2008-02-23投稿
君はナイトをとても可愛がった。まるで本当の息子のように。
僕はそんな君を見るのが大好きだった。
じゃれ合い、撫で、エサをやり、一緒に寝る。
叱るときはしっかり叱る。
きっと君はいいお母さんになる。
それなのに僕は……。

君が小さい頃に母親から虐待されていたことは、付き合い始めの頃に聞いた。
僕はそれまで側にそういう人はいなかったので、どう反応すればいいか戸惑った。
君はあの頃僕が思っていた以上に深く傷付いていたんだね…?
今になってそれに気付いた。遅すぎた。
あの頃の僕は何もわからなかった。君がすごく怖く、痛い思いをし、すごく傷付いていたのは頭ではわかったが心では実感がなかった。
虐待を受けた子どもがどれほど心に深い傷を負うのか。実の親から、愛している人から暴力を受けるということがどれほど残酷なものなのか…。
浅はかだった。僕は君が負った傷の深さも知らずに、身の程も考えずに君を支えたいなどという、傲慢なことを思ってしまった。
僕がもっと大人であったら。もっとしっかりしていれば。そして僕が僕でなければ、君を支えられたかもしれない。支えられなくても君をあんなに傷付けずにすんだかもしれない。
僕は、君を支えるどころか君の傷を拡げるようなことしかできなかった。そしてさらに傷を増やしてしまった。
自分の感情さえうまくコントロールできないのに、どうして人を支えることができるのか。馬鹿だった。
僕は君を好きになった。なら尚更大事にできたはずなのに…。
僕はできなかった。自分の気持ちを優先させてしまった。
僕は君を僕の型にはめようとしていた。
愚かだ。そんな心の狭い人間にどうして人を支えることができるだろうか。どうすれば傷を癒せるだろうか。
僕はいつの間にか君を支えるということを君の側にいる大義名分にしていた。本当は自分が側にいたいだけなのに。側にいてほしいだけなのに……。
そして、僕はどんどんおかしくなっていった。いや、僕の本性が出ただけなのかもしれない。
1つ確かなことは、どんなに歪んでいても、普通ではなくても、僕は君を愛していた。 ただそれだけだ……。

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