携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 恋愛臆病者?

恋愛臆病者?

[138]  爽香  2008-02-23投稿
翌日。深月は、奈生(なお)とカフェにいた。深月とは高校時代からの仲で、今はアパレル業界で販売員として働いている。
マグカップに注がれたホットカフェラテをマドラーでゆっくり混ぜながら、奈生が言った。
「で、翔吾って言ったっけ?その"メル友"だか"寝る友"だかってのは。」
奈生がそう言うと、カプチーノを口にしていた深月は、慌てて弁解する。
「やめてよ、人聞き悪い。"メル友"でも"寝る友"でもないわよ。」
深月はマグカップを一旦置き、上唇についたスチームミルクをペーパーナプキンで拭き取る。そんな深月を見つめて奈生は言った。
「大体、深月はいつだって男を信用しすぎ。」
「でも"好き"って言われたもん!今までだって…、」
「けど"付き合って"とは言われてないでしょ?」
「……。」
深月は、無言で頷くしかなかった。
「出会って、ちょっとメールとかして、"好き"だとか言われただけですぐに体を許しちゃう…。深月の恋愛パターンはいつもそう。」
「……。」
「悔しいかもしれないけど、いつも男の方が一枚上手ね。」
奈生のスパッとした物言いは昔からだ。こうもズバリ言われてしまうと返す言葉も見つからず、深月は心の中で納得するしかなかった。けれど、この奈生の冷静沈着なところは、深月の尊敬しているところでもあった。
「気持ちはわかるけどさ…。」
そう言って一呼吸おくと、奈生はバッグから煙草とライターを取り出した。
「あれ、煙草やめたんじゃなかったの?」
「んー…、ささやかな反抗ってとこ?」
そう言って軽く鼻で笑うと、奈生は煙草に火を付けた。
「アイツ、やっぱり彼女と別れられないって言うからさ。"煙草やめてくれ"っていうアイツの望み聞くの、しゃくじゃない。」
"アイツ"と呼ぶ奈生が思いを寄せるその人には、長年付き合ってる彼女がいた。
「そっか…。でも、そんな亮介くんとももうすぐ一年だね。」
「何も変わらないままずるずるとね…。って言うか、ごめん。あたし深月に偉そうなこと言えないね。」
「奈生は違うよ!全てを受け入れて一途に愛してるだけだよ。」
「ううん、嫌われるのが怖いんだと思う。あたし、本当は臆病者だから。」
奈生は自分自身に呆れた笑みを浮かべた。だが、深月は笑えなかった。
そのとき奈生が吐いた副流煙が、少し悲しげに見えた。

感想

  • 8943: 読みやすい。この先のひねりを楽しみにしてます! [2011-01-16]

「 爽香 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

新着小説作品

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス