あの日あの時?
直也と出逢った講習会から怒涛の3ヶ月が過ぎ、合格発表の朝が来た。来てしまった、この日が。
新宿で圭子と待ち合わせて、大学へ向かった。
「受かりたいなぁ…。」力なく圭子がつぶやいた。それは私も同じだ。
「絵里は受かってるよ。」
「圭子!お互い頑張ったんだからさ、信じて見に行こ…。」
力ない会話をしているうちに、私達は大学の校門にいた。祈る思いで大きな掲示板の下へ行く。
……あった。あった!あったー!!
圭子は?
「絵里ぃー受かってたよぉ。」
良かった、本当に。また一緒に通えるね。
入学の書類を受け取ってウロウロしていたら、一番会いたかった人を見つけた。初めて会った時と同じ、グレーのダッフルコートを着ている。
北村直也。今日も伊藤浩介と一緒に。ふたりとも書類をしっかり抱えて。
あぁ、彼も合格したんだ。本当に同級生になれるんだ。初めて合格の実感。嬉しい。
私と圭子に気付かずに、彼らはこちらに向かって来る。あ、気がついたかな。右手を高く上げて飛び上がっている浩介と、軽く手を振っている直也。
私達も思わず笑顔で近づいて行った。
「ふたりとも合格だよね?」と浩介が言うと、圭子が答えた。
「うん!そっちもでしょ?良かったねぇ。」
「またここで会えるなんて、運命だよな。」とお調子者の浩介の言葉は続く。
私と直也は、何となく黙っていた。というより、私は胸がいっぱいで何も言えなかったのだ。憧れの音楽大学に合格したことに。そして、直也を見ていられる4年間が訪れることに。
そっと目を閉じると周囲の喧騒が遠のき、静かな喜びが胸に広がった。
新宿で圭子と待ち合わせて、大学へ向かった。
「受かりたいなぁ…。」力なく圭子がつぶやいた。それは私も同じだ。
「絵里は受かってるよ。」
「圭子!お互い頑張ったんだからさ、信じて見に行こ…。」
力ない会話をしているうちに、私達は大学の校門にいた。祈る思いで大きな掲示板の下へ行く。
……あった。あった!あったー!!
圭子は?
「絵里ぃー受かってたよぉ。」
良かった、本当に。また一緒に通えるね。
入学の書類を受け取ってウロウロしていたら、一番会いたかった人を見つけた。初めて会った時と同じ、グレーのダッフルコートを着ている。
北村直也。今日も伊藤浩介と一緒に。ふたりとも書類をしっかり抱えて。
あぁ、彼も合格したんだ。本当に同級生になれるんだ。初めて合格の実感。嬉しい。
私と圭子に気付かずに、彼らはこちらに向かって来る。あ、気がついたかな。右手を高く上げて飛び上がっている浩介と、軽く手を振っている直也。
私達も思わず笑顔で近づいて行った。
「ふたりとも合格だよね?」と浩介が言うと、圭子が答えた。
「うん!そっちもでしょ?良かったねぇ。」
「またここで会えるなんて、運命だよな。」とお調子者の浩介の言葉は続く。
私と直也は、何となく黙っていた。というより、私は胸がいっぱいで何も言えなかったのだ。憧れの音楽大学に合格したことに。そして、直也を見ていられる4年間が訪れることに。
そっと目を閉じると周囲の喧騒が遠のき、静かな喜びが胸に広がった。
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