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おかめだ、おかめだ

[160]  がき  2008-02-26投稿
 彼女と、私と、差しでお酒を酌み交わすのが、私のかねてからの夢でした。
 彼女と出会ったのは中学生の頃、私が部活動の練習で校庭を走らされている時でした。必死に走っている私を指さして、「おかめだ、おかめだ」と、くすくす笑う人影があるのです。失礼な奴だと睨みつけた相手が、彼女でした。
 元来私は色白で、そのくせ眉が濃く、一重瞼で、さらにその時は運動によって頬が紅潮していたので、彼女はそれをからかって「おかめだ」と言ったのでしょう。
 そんな出会い方をした男女が仲良くやれるはずがなく、私達は学年きっての犬猿の仲として知られるようになりました。
 その後私達が和解することはなく、お互いに嫌い合ったまま中学校を卒業し、別々の道を歩むことになったのです。
 しかし、確かに私達は嫌い合ったまま別れたはずなのですが、何故か日を追う毎に、私は彼女のことが恋しくなっていきました。
 思いがけない心の変化に、私は内心戸惑いました。
 毎日顔を合わせていた時分にはあれだけ罵りあって親しまなかった相手が、距離をおいて、時を経るにつれて、段々と恋しくなる。こんなことがあるものかと自分を疑いました。
 けれども私の彼女を思う気持ちはますます大きくなる一方で、もはや自分を誤魔化すことが出来ないほどになりました。
 彼女が好きだ。
 私がとうとうその結論に辿り着いた時には、既に彼女と別れてから五年の月日が流れていました。彼女と一緒にお酒を飲みたいという願望が芽生え始めたのも、大体その頃でした。
 あれから彼女はどうしているのだろう。気になって仕方がなくなった私は、思い切って彼女に連絡を取ることにしました。五年の歳月が私の電話を持つ手を震えさせます。呼び出し音が五回響いたところで、ガチャリ。
「もしもし?たっちゃん?」

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