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散ったとしても。4

[291]  吉乃森 雪  2006-04-23投稿
て言っても勝手にコイツが、ちょっかい出してくるだけ。

鬱陶しいけど、邪魔だとかは思ったことはない。
なんか、この感じは嫌いじゃない。


* * * * *

「腕痛い…」
「勘弁してー」

一限目中ずっと廊下でバケツを持っていた腕は悲鳴を上げている。
どれもこれもコイツのせいなのに、悪びれたふうもなく笑って誤魔化そうとする。

「ったく…何処までもムカつくやつね」
「生まれつきでございます」

皮肉たっぷりに言えば、皮肉たっぷり倍増で返ってくる。

でも、けして嫌な雰囲気の会話ではなく、それはお互い解りきっていることだから。


「でも、ま…一限目は嫌いな授業だったからいっか」
「じゃ、二限目もこの調子で‥「フザケンナ。」


むぅー…と机にうなだれる翔。
褐色のやわらかい感じの髪が風でサラサラなびいている。

「じゃ、あたしはこれで」
「?どこ行くの?」
「菜月が呼んでる」

それだけ言うと、スタスタと翔から離れていった。

なぜが、見慣れたはずの顔が、もの凄く美形で、当たり前だけど、凄いかっこよくて…つい見惚れてた。


(あたしの馬鹿…)

トキメキは無い、け、ど…

なんか、変な感じ。

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