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不幸な男達

[663]  downpour  2008-03-01投稿
道端靖はたじろいでいた、
左頬を撫でながら、まるで無関心に「汚い男だな…」とボソッと言われた瞬間、頭でプチッという音がし、ウワァ!と思いきり押し倒してしまった。
監督はグッタリしている、打ち所が悪かったのか、よくわからなかったが、ともかく取り返しのつかない事をしてしまったのは混乱し続けている頭でも十分に理解していた。

将来有望な注目のルーキー、道端靖の人生はまさにこれからであった。
しかしその夢見た道、いや人生の道は今閉ざされてしまった。靖は呆然と立ち尽くしていた。

どうしたらよいものかとりあえず、人が入って来たときにのために奥の休息部屋へと監督を移動させた。

コンコン…その時ドアがノックされた、「失礼します、監督……靖?お前何で?……今来たのか?さっきはロッカーにいなかったし…」
「た、田辺さん…えっ、えぇ自主練しようと今来ました…田辺さんは?」
「俺か?お、俺はちょっと監督に……おかしいな監督知らないか?さっきはいたんだが?」
「いやぁ…いないみたいですねぇ…トイレですかね?」

完全にピンチであった、靖はとにかく追い出そうとしたが田辺はなかなか出ていこうとしなかった。
「…ふぅ…ちょっと水飲むわ…」
「!あっちょっと田辺さん」
ガチャ…田辺は驚愕した、最悪の事態がおきていた、しかもこの状況で。田辺はたじろいだ。

事件は靖が呼ばれたほんの数分前である。
田辺は監督に渡した飲み物にちょっとした薬を混ぜた、それは風邪に似た症状を起こすものであった。
監督が義理人情に厚いのは有名であり、監督を手厚く介抱すれば少なくとも評価がプラスになるのは確信があった。
今日は有名な監督直直の居残り特練に自分も選ばれた。人数の少ない時なので色々都合が良いと思った。
田辺は、神様がくれたチャンスだとも思った。

分量を間違えた事はすぐに気が付いた。ビンの目盛りを読み違えていたのである。
死にはしないだろうと思い、とにかく様子を見に行こうと来たのだが、そこに予期せぬ訪問者がいたのである。

後戻りの出来ない二人がいた

「…田辺さんちょっと来て下さい」

「ん?…靖お前も少し水分補給しないか?」

一人はバットをしっかりと握り直し、
一人は静かにビンの蓋を開けた。
不幸な男達は何も知らなかった。

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