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吸う指先

[363]  あやこ  2008-03-04投稿
『次、会う時は彼の手を触りたい』と思った。

煩わしいトラブルを避けたい私たちは、並んで座ることはできない。だから私は、彼の運転する車の後部座席に乗り込む。

後ろから手をのばし彼の右頬に触れる。
『アッ…』
ようやく彼の体温にたどり着いた。
朝剃られたであろうヒゲの後が指先に伝わる。
『この人のこと好きだなぁ』と確認する。

彼は、私の手を囚えようと首を傾げる。しばらくそのままでされるがままになる。

右耳に触れる。指先でその形をゆっくりとなぞる。この後、この耳に、何度吐息を吐くのだろう。

そのまま首筋へ、ネクタイの締められた襟元へ指を滑り込ませる。
会えない間の恋しさを指先から伝える。そして指先で彼を誘う。

この場所からじゃハンドルを握る彼の手にはたどり着けない。

私は、ベッドに入ると沢山のものを放出してしまう。
直接会って話したかったコト、最近考えたコト、不実な彼にたいする不満、恋しかったコト、会いたかったコト。そして多過ぎるくらいの体液、体の芯からおこる熱、いやらしい鳴き声。

だから、彼に吸い付くされる前に、触れる指先から彼を吸い付くそうとする。充電器のプラグのように、指先で、彼を私の中に吸収する。

そして私の心はしばらく満たされるのだ。

感想

  • 9124: ヒゲの後→跡ですね(ノ_・。)感想聞かせて下さい。マグロはイヤッ!《あやこ》 [2011-01-16]
  • 9126: 待ってました!僕はあやこさんの官能ワードがすごく好きです。女性の繊細な気持ちが男性の獣的な感情とは対照的で、勉強になります。花雲 [2011-01-16]
  • 9133: いつ官能コーナーへの移動を言い渡されるかヒヤヒヤもんですが…。《あやこ》 [2011-01-16]

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