携帯小説!(PC版)

喫茶10

[422]  湯島 朗  2006-04-24投稿
 次の日から、喫茶店の手伝いに入った。
「よろしくお願いします。」
 従業員はたったの3人。関東さんと、関本君って男の子と香音ちゃん。そして、私だ。
「いらっしゃいませー。」
 人が入ってくる数は少ない。けど、それなりにいい店だ。料理もコーヒーもかなりの評判・・・。評判だから、会いたくない人にも会っちゃったりするんだけど・・・。


「いらっしゃい。」
 関本君が入ってきた客に声をかけた。
「羽音。コーヒーね。オーダー。11番。」
「わかった。」
 そう言って、私はコーヒーを入れた。
「お待たせしまし・・・。」
 そこまでだった。台詞を言えるのは。だって・・・私をいじめた人がいたから。
 ガチャッとコップを落とした。コーヒーはこぼれた上に、カップも割れた。
「羽音ちゃん!」
「羽音!」
「羽音さん!」
 3人が駆け寄ってきた。なのに、返事できない。なにがおこったか分からなくなった。ただ、恐怖で震えていた事だけは・・・鮮明に覚えている。


「はお・・・ちゃん。羽音・・・ちゃん。羽音ちゃん!」
 香音ちゃんの声?そうだ。香音ちゃんだ。なんで。また、薬品のにおい。私、リストカッとしてないよ?あっ・・・。あいつが現れたからか。そうだ。思い出した。震えてたんだ。あっ。カップ、大丈夫かな。コーヒーは?溢れたでしょ?私、初日から何やってんの・・・。

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