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夏の思い出

[467]  ウグイ  2006-04-25投稿
あの夏の日、君は僕にこう言った。
―――この街にいたら、きっと私は皆に甘えてしまうと思う―――\r
どこか哀しげに、そう言った君は、もうここにはいない。
きっと君は、何もかもに疲れていたんだね。
いつも見ていた君の太陽の様な笑顔も、友達や僕との間で絶やす事のなかった笑い声も、そして優しい日だまりに包まれた様な暖かい性格でさえも、全部、君がその脆く細い翼を守る為に作り出した虚像にすぎなかったんだろう。

―――ねぇ、君も一緒に来ない?
どこか、そう誰にも干渉されない遠い町に行こうよ―――\r

あの夏の日、そう言って君が僕に差し延べた、日に焼けていない真っ白い手。

ゆっくりと首を振った僕に、君はやっぱり哀しげに失笑した。


そして、君は一人で町を出た。

きっと君は色んな物に縛られる世界を変えたかったんだね。

色んな物のしがらみをかなぐり捨てて、一から世界を始めたかったんだね。










どうですか、君の世界は変わりましたか?




僕の世界は変わったよ。
君が教えてくれたから。










世界を変えるには、周りの環境や人物を変えるだけじゃ駄目なんだって……。











世界を変えるには、弱い自分を変えなきゃ駄目なんだ。











君のいなくなった町は、今でも君の帰りを待っているよ。

だから、僕も待つよ。
何年でも、何十年でも……。



――また、会える日まで

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