少女と麒麟と青い空 2
少年は、何もない所から突然現れたようだった。もちろん私は廻りに注意を払っていたわけではないから、そんな筈ないのは解っているけど。
「ちょっと話さない?
俺、キリン」
私は思わず笑ってしまった。キリン、黄色くて斑点のある首の長い動物。目の前の少年は、色が白くて、ひょろっとしていて…特にキリンらしいところはない。
「キリンですか…じゃあ私はトリです。今、飛ぶ所だから」
少年…キリンは笑った。優しい目をしていた。確かに、草食動物っぽい。
「なんで飛ぶの?」
キリンはフェンス越しに尋ねてきた。こんなに間近に男の子と話すのは初めてだから…フェンス越しでもドギマギしてしまう。死のうって人間が、なんだか滑稽な状況!
「孤独に気付いたから」
「孤独?家族いないの」
「いるけど…私、1番じゃないんです。考えてみたら私、必要じゃないみたいで」
会ったばかりの人間に、何、語ってんの…。
それでも、私は嬉しかった。
「ふーん…でも教えてあげよっか?」
「何をですか」
キリンはニコッと笑って地面の方を指差した。
「ここって四階じゃない…下手すると、死ねないよ。良くて植物人間。悪くしたら、下半身不随とか…手足なくしちゃうとか」
私の顔色が変わったのがわかったのか、キリンはニヤついて一歩下がる。
「あなた…私が死のうとするの、止めてる?」
その質問を噛み締めるように首をかしげてる。
「さあ…」
「さあって…それなら口出ししないで下さい」
キリンは吹き出した。
「だってトリさん、僕、一応人間ですから。目の前で人に死なれたら嫌でしょ?」
「…人間じゃないでしょ…キリンなんでしょ」
我ながら、つまらない言い草だと思う。
しばし、時間が止まった…キリンの目が真っすぐ私を見つめる。
…もう、笑ってない。
「トリさん、もっといいとこ教えるよ。こっち、おいでよ」
変な私。
あれほどの覚悟だったのに…本当、迷うなんてどうかしてる。
こんな時でさえ、この人に嫌われることを恐れているのか…?
それとは…違う?
私のなかで何かが…。
何かが動いた…。
キリンはフェンスに足をかけ、手を差し延べていた。
私は。
私はその手を取った。
「ちょっと話さない?
俺、キリン」
私は思わず笑ってしまった。キリン、黄色くて斑点のある首の長い動物。目の前の少年は、色が白くて、ひょろっとしていて…特にキリンらしいところはない。
「キリンですか…じゃあ私はトリです。今、飛ぶ所だから」
少年…キリンは笑った。優しい目をしていた。確かに、草食動物っぽい。
「なんで飛ぶの?」
キリンはフェンス越しに尋ねてきた。こんなに間近に男の子と話すのは初めてだから…フェンス越しでもドギマギしてしまう。死のうって人間が、なんだか滑稽な状況!
「孤独に気付いたから」
「孤独?家族いないの」
「いるけど…私、1番じゃないんです。考えてみたら私、必要じゃないみたいで」
会ったばかりの人間に、何、語ってんの…。
それでも、私は嬉しかった。
「ふーん…でも教えてあげよっか?」
「何をですか」
キリンはニコッと笑って地面の方を指差した。
「ここって四階じゃない…下手すると、死ねないよ。良くて植物人間。悪くしたら、下半身不随とか…手足なくしちゃうとか」
私の顔色が変わったのがわかったのか、キリンはニヤついて一歩下がる。
「あなた…私が死のうとするの、止めてる?」
その質問を噛み締めるように首をかしげてる。
「さあ…」
「さあって…それなら口出ししないで下さい」
キリンは吹き出した。
「だってトリさん、僕、一応人間ですから。目の前で人に死なれたら嫌でしょ?」
「…人間じゃないでしょ…キリンなんでしょ」
我ながら、つまらない言い草だと思う。
しばし、時間が止まった…キリンの目が真っすぐ私を見つめる。
…もう、笑ってない。
「トリさん、もっといいとこ教えるよ。こっち、おいでよ」
変な私。
あれほどの覚悟だったのに…本当、迷うなんてどうかしてる。
こんな時でさえ、この人に嫌われることを恐れているのか…?
それとは…違う?
私のなかで何かが…。
何かが動いた…。
キリンはフェンスに足をかけ、手を差し延べていた。
私は。
私はその手を取った。
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